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Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

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インサイダー取引規制について(その4)~「公表」と「特定有価証券」の意味~

インサイダー取引の規制を受けるのは、未公表の「重要事実」を知った「会社関係者」または「情報受領者」が、「重要事実」の発生後から「公表」の前までに、「重要事実」を知りながら行う株券等の売買等です。これまでに、「重要事実」の意義と、「会社関係者」「情報受領者」の範囲については勉強しましたので、次は、株式売買が禁止される期間について見てみたいと思います。具体的には、重要事実の「公表」とは、いつの時点のいかなる行為を指すのかという問題です。

金融商品取引法166条第4項および同施行令30条によると、「公表」とは、次の①~③のいずれかを意味します。
① 上場会社等の代表取締役(代表執行役を含む)又は当該取締役(当該執行役を含む)から委任された人が、「重要事実」について、法令で定められている2つ以上の報道機関に公開した時から12時間経過したこと (12時間ルール)
② 上場会社等が上場する証券取引所等に対して「重要事実」を通知し、当該証券取引所等において電磁的方法により公衆の縦覧に供されたこと(*1)
③ 「重要事実」に係る事項が記載された有価証券報告書、半期報告書、臨時報告書、その他訂正報告書等が公衆の縦覧に供されたこと


では、自社のウェブサイトに掲載することは「公表」に該当するでしょうか?・・・答えはNOです。よって、会社のウェブサイトで合併案が公表されたからといって安心して当事会社の株式を購入したりすると、未公表の重要事実を知って株式を売買したことになりますので注意が必要です。

なお、細かくなりますが、売買が禁止される株式等は、金融商品取引法「特定有価証券等」と呼ばれており、次の①・②がそれに該当します(*2)。
① 特定有価証券 : (会社法上の)株券、新株予約権証券、社債券及び優先出資法上の優先出資証券など
② 関連有価証券 : カバードワラント(*3)、他社株償還条項付社債(*4)など


また、金融商品取引法第166 条第6 項によって、次の①~④等は、未公表の重要事実を知っていてもインサイダー取引規制の適用除外とされています。
① ストック・オプション(新株予約権)の行使による株券の取得
② 役員持株会・従業員持株会による定時・定額の買付け
③ 株式累積投資
④ 重要事実を知る前に締結された契約を履行するための売買等のように、特別の事情に基づく売買等であることが明らかなもの


これらは、もともと株式等の売買が予定されていた以上、職務上知った重要事実を利用して儲けようとする投機的利得行為ではないため、規制の対象外とされたものです。ただし、例えば、①によって株券を取得した後にその株を重要事実の「公表」前に売却すればインサイダー取引となりますので注意が必要です。


(*1) 証券取引所が定める適時開示規則(M&Aに関する機関決定を行った場合には、直ちにその内容を開示しなければならない)が存在するために、例えば東証に上場している会社であれば、通常は、取締役会等の機関決定があった後数時間以内に、<TDnet>というウェブサイトを利用して公表が行われます。なお、②では①のような12時間ルールは適用されません。
(*2) 金融商品取引法163条第1項、同施行令27条の3・27条の4
(*3) カバードワラントは、株式オプションを証券化した金融派生商品です(<ウィキペディアの説明>)。
(*4) 他社株償還条項付社債(Exchangeable Bond)とは、普通社債券で、特定有価証券により償還することができる旨の特約が付されているものを言います。予定日に、現金ではなく所定の銘柄の株券で償還される点に特徴があり、債権の発行体と償還を受ける株式の発行会社が異なるため「他社株」という言葉が付いています。

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