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井垣太介 (Taisuke Igaki)

Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

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インサイダー取引規制について(その1)

金融庁は、最近、野村証券の従業員によるインサイダー取引事件を踏まえて、証券会社に対して5つのチェック項目を提示し、早急に対応を取るように要請しました。
金融庁が提示したチェック項目は、

① 法人関係情報を入手することが可能な役職員による有価証券取引の実態把握
② 情報管理態勢の再検証と整備
③ 役職員の有価証券取引に関する社内規則の検証


などですが、証券会社におけるM&A業務の重要性は年々高まっていますので、情報管理システムを中心とする業務管理体制のレベルアップが求められていると言えます。ただ、インサイダー取引に注意しなければならないのはもちろん証券会社だけではありません。また、規制の対象となるインサイダー情報についても、M&Aに関する情報に限られているわけでもありません。例えば、昨年(2007年)には、コマツや大塚家具などがインサイダー取引を理由に金融庁から課徴金を科せられました。いずれも重要事実に対する認識が不十分なままで自社株買いを行ったことが原因です(*1)。

そこで、今回から数回のシリーズで、金融商品取引法が規制しているインサイダー取引の規制内容や実務上注意すべきポイントについて勉強していきたいと思います。

インサイダー取引とは、「会社の関係者が、未公表の重要な情報(*2)や公開買付け等の情報を職務に関して知りながら、会社が公表する前に、会社の株(*3)を売買すること」を言い、金融商品取引法 166 条以下で制限されています。ここで規制の対象となっているのは上場株式だけではなく、いわゆるグリーンシート銘柄(*4)も含まれています。また、「会社の関係者」には、役員と従業員だけでなく、契約社員、派遣社員およびアルバイトや、契約締結交渉中の法人または個人なども含まれます。

インサイダー取引の禁止規定に違反すると、
① 課徴金納付命令を受ける(*5)
② 刑事告発される

可能性があり、後者の場合、有罪になると、「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはその両方が科される」ことになります(更に、取引により得た財産も没収されます)。

このように重大な影響を与える割に、要件などを完全に理解するのが難しいインサイダー取引規制は、M&A取引に関与する人たちにとっては頭の痛い問題であると言えます。次回以降のコラムで、「重要事実」の意味や情報管理のポイントなどを順に見ていきます。


(*1) コマツにおける重要事実は「海外子会社の解散」、大塚家具における重要事実は「取締役会での配当修正の決定」でした。
(*2) 業務提携などの決定、震災による損害の発生、業績予想の修正といった決算情報など。
(*3) 新株予約権証券などを含みます。
(*4) 非上場銘柄の店頭取扱有価証券等のうち、証券会社が日本証券業協会に対して届出を行い、当該証券会社が継続的に売り気配・買い気配を提示している銘柄を言います。
(*5) 取引で得たと推定される利益を国庫に納付する義務を負います。

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