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Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
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企業結合会計~消えゆく持分プーリング法~

企業結合会計といいますと、国際的な会計基準はパーチェス法ですが、日本には一部持分プーリング法が残っています。ここを欧州証券規制当局委員会(CESR)に指摘され、補正するように求められていました。

そこで、日本では、平成18年12月に企業会計基準委員会(ASBJ)事務局内に企業結合プロジェクト・チームが設置され、国際基準との違いや日本の状況を調査した上で、平成19年10月に、「企業結合会計に関する調査報告-EUによる同等性評価に関連する項目について-」をASBJに提出しました。その後、ASBJは、上記調査報告書を元に審議を重ねた上で、平成19年12月27日に「企業結合会計の見直しに関する論点の整理」を公表しました(パブコメの受付は既に終了)。この動きについては引き続きフォローする予定ですが、その前に、パーチェス法とプーリング法の違いを、法務チームに必要な範囲内で理解しておきたいと思います。

パーチェス法というのは、「結合される企業・事業から受け入れる資産・負債の取得原価を、対価として交付する現金・株式等の時価とする方法」です。他方、持分プーリング法は、時価評価を行なわず、簿価を結合させる方法になります。パーチェス法を採用した場合、結合に際して含み益や営業権なども時価評価されるため、純資産額が増加することになります(プーリング法では全て簿価で引き継ぐため「のれん」は発生しません)。これが「のれん」(Goodwill)で、日本では20年以内の一定期間に定額償却する方式が採用されています。この「のれん」の償却が収益を圧迫することを嫌い、また、「パーチェス」=「大が小を買収する」というイメージを嫌い、従来、日本でもアメリカでも、何とか持分プーリング法を適用しようとするケースが多く発生したようです。

しかし、アメリカでは、結局、持分プーリング法は完全に廃止され、今はパーチェス法のみが許されています(つまり、いかなる場合でも、どちらが買収会社でどちらが被買収会社かを決めなければなりません。この決め方についても一定の基準が存在します)。なお、アメリカではパーチェス法によって発生する「のれん」については政策的判断により償却不要とされ、必要に応じて減損処理をすることだけが要求されています。

日本では、2006年から新ルールとして企業結合会計基準が適用が始まりましたが、パーチェス法への一本化は見送られ、持分プーリング法が生き残りました。ただし、現時点において、持分プーリング法が適用されるのは、対等な結合と見なすべき以下の3つの条件をすべてクリアしたケースのみとなります。

① 企業結合の際、支払われる対価がすべて株式であること
② 結合会社の各株主の議決権が、結合後の会社の議決権比率でおおむね50:50(上下5%のズレはOK)になること
③ 議決権比率以外の支配関係を示す一定の事実がないこと

遅かれ早かれ、この持分プーリング法は廃止されると思いますが、その場合には、どのような基準で取得企業を決定するかという論点がアメリカと同様に問題になってくると考えます。

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