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Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
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合併の税務(その6)~三角合併の場合~

いわゆる三角合併の場合、通常、合併前の当事会社間に50%超の資本関係は存在しないと思われますので、適格合併とするには、「共同事業を行うための合併」として以下の要件を充たす必要があります。

ア 事業関連性要件
イ 事業規模要件または経営参画要件
ウ 株式継続保有要件
エ 金銭等の支払がないこと
オ 独立事業単位要件(80%以上の従業員の引継ぎ)
カ 事業継続要件


従前、三角合併にとっての障害は上記要件のアとエでした。
すなわち、まず、エの「対価要件」に関しては、平成19年税制改正前の対価要件は「存続会社の株式以外の資産が合併対価として交付されないこと」でしたので、親会社の株式を交付する三角合併は非適格となりました。しかし、既に<合併の税務(その2)~100%の支配関係がある場合~>で述べたように、平成19年年度税制改正によって、「合併法人の親法人の株式」が、適格合併の対価の範囲に加えられました。ここで言う「親法人」とは、「合併等の直前に合併法人等の発行済株式の全部を直接に保有し、かつ、当該合併等後にその発行済株式の全部を直接に継続して保有することが見込まれる法人」をいいます。よって、この要件を充たす親法人の株式を利用する三角合併については、適格要件を充たすことになりました(*1)。

続いて、アの「事業関連性要件」に関しては、三角合併を計画する外国企業が日本企業を買収するために日本に設立する子法人は自らは事業を行っていない受皿会社(SPC)であるのが通常ですので、「消滅会社の主要な事業」と「存続会社のいずれかの事業」が相互に関連するとは言えず、やはり非適格となりました。この点、平成19年年度税制改正によって、やはり「事業関連性要件」の緩和措置が採られ、<合併の税務(その4)~共同事業を行うための合併①~>で述べた「事業実体性に関する判断基準」を充たす事業準備会社については「事業関連性要件」を充足しうるということになりました。

なお、<合併の税務(その3)~50%超100%未満の支配関係がある場合~>で述べたとおり、「保有割合50%超100%未満の支配関係がある会社間の合併」については、
ア 金銭等の支払がないこと
イ 直接または間接の50%超の支配関係の継続
ウ 独立事業単位要件(80%以上の従業員の引継ぎ)
エ 事業継続要件

が「適格合併」となりますので、「事業関連性要件」を充たす日本法人を持っていない外国企業が日本企業を買収したい場合には、先に50%超の対象会社株式をキャッシュで買い付けてから上記「保有割合50%超100%未満の支配関係がある会社間の合併」を利用するという方法があり得ることになります。


(*1) 三角合併に限った論点ではありませんが、「対象会社の株主に存続会社およびその親会社の株式以外の財産が交付されないこと」をもって適格合併の要件とする現行法については、金銭を対価として利用する合併は全て不適格となり妥当でないとの批判が存在します(例えば、武井一浩「M&A法制の今後の課題-企業法実務の観点から-」(『会社法と商事法務』289頁))。合併対価の一部を金銭で受け取るということは、株主にとって、「株式を持ち続けることによって発生する将来のリスクを部分的現金化によって軽減させる」効果を有しますし、金銭を受け取ってもその比率によっては「支配関係」に大きな影響を与えないケースもあり得ると思いますので、要件を明確にした上で、「対価要件」を緩和するのが良いではないかと考えます。なお、現行法の下で、キャッシュと株式を混ぜた合併を行おうと思えば、「現金を使った株式取得+合併」という二段階スキームを利用することになります。

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