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井垣太介 (Taisuke Igaki)

Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
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合併の税務(その5)~共同事業を行うための合併②~

共同事業要件は、「事業関連性要件」「事業規模要件または経営参画要件」「株式継続保有要件」の三つから成りますが、今回はそのうち「事業規模要件または経営参画要件」と「株式継続保有要件」について紹介します。

イ 事業規模要件または経営参画要件

税法上は、合併当事会社が「共同」で事業を行う場合に限って適格合併と評価されますが、規模が大きく違う会社間の事業統合については、もはや「共同事業」とは言えず、むしろ「買収」と評価すべきことになりますので、事業規模が近いことが税制適格要件として要求されています。また、例えば、ベンチャー企業と同業の老舗企業が合併し、お互いに足りないものを補完しあう場合のように、事業規模は異なっていても「共同で事業を行うために合併する」と評価してもよいケースもあるでしょう。そこで、事業規模要件の代わりとして、経営参画要件が登場します。これは、合併当事会社の双方から役員を出して新会社の経営を行うのであれば、共同事業性を認めようとするものです。

具体的には、
消滅会社の事業と存続会社の事業のそれぞれの売上金額、資本金等の事業規模が概ね5倍を超えないこと(事業規模要件)
または、
合併後の存続会社の特定役員(社長、副社長、代表取締役、専務取締役、常務取締役又はこれらに準ずる者で経営に従事する者)(*1)が、消滅会社の特定役員および合併前の存続会社の特定役員の双方から選出されること(経営参画要件)
が必要です。

ウ 株式継続保有要件

「共同事業を行うための合併」においても、「企業グループ内の合併」と同様、合併後の保有株式について一定の制限が設けられています。すなわち、消滅法人の株主の数が50人未満である合併については、「存続会社株式の全部を継続保有することが見込まれる者が、消滅会社株式の80%以上を有していること(議決権のある株式に限る)」とされています。株主が50人以上のケースに関して株式継続保有が要求されないのは、株主が多数存在する企業や上場企業の株式について継続保有の要件を課すことは現実的ではないからです。

なお、「共同事業を行うための合併」においても、「企業グループ内の合併」と同様、「金銭等の支払がないこと」「独立事業単位要件(80%以上の従業員の引継ぎ)」「事業継続要件」は必要です。

よって、まとめると、「共同事業を行うための合併」が税制適格を得るための要件は、

ア 事業関連性要件
イ 事業規模要件または経営参画要件
ウ 株式継続保有要件
エ 金銭等の支払がないこと
オ 独立事業単位要件(80%以上の従業員の引継ぎ)
カ 事業継続要件


となります。

以上で、適格合併要件の整理は終わりますが、若干の補足です。税制適格合併では、原則として合併の日の前5年以内に開始した事業年度において生じた青色繰越欠損金を存続会社が引き継ぎますが、グループ内組織再編の場合で、要求される資本関係(持分割合50%超の関係)が合併の日の属する事業年度開始日の5年前の日以後に生じている場合は、「みなし共同事業要件(*2)」を満たさなければ、資本関係発生事業年度前に生じた青色繰越欠損金の金額の全部または一部を引き継ぐことができない場合がありますので注意が必要です。


(*1) ここでいう「特定役員」は、実態的に経営の従事する役員でなければならないことから、使用人兼務役員や社外取締役では要件を充たさず、執行役員については経営に参画しているかどうかで判断されます。また、共同事業性の要件を充たすためにとりあえず短期間「特定役員」を存続会社に派遣するというのでは法の趣旨の潜脱になる可能性があります。
(*2) 「事業関連性要件」「経営参画要件」の両方を充たすか、「事業関連性要件」「事業規模要件」「規模継続要件(消滅会社の合併直前の事業規模が、特定資本関係になった時点に比べて2倍を超えないこと)」の全てを充たすことが必要。

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