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Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
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監査役制度の行く末(その2)

前回のコラムで述べたように、日本の「業務執行者の監督制度」のあるべき方向性に関する議論は混沌としているように見えるわけですが、発想の種類としては、以下のように整理できると考えます。

① 取締役(会)の監督機能を強化する案
② 監査役(会)の監督機能を強化する案
③ 米国型委員会設置会社をより活用しようとする案(上記①案の一つの具体化)


①案について
①案は、社外取締役/独立取締役に期待する立場です。例えば、<日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム>(落合誠一理事長)は、2006年12月15日に公表した<「新コーポレート・ガバナンス原則」>において、
「会社法上、社外取締役の選任が必要となる委員会設置会社はもちろん、社外取締役を任意に選任するそれ以外の会社にあっても、社外取締役は取締役会の業務執行者に対する監督機能の主たる担い手となることが期待される上に、取締役会としての意思決定の公正確保の観点からも重要な役割を果たしうる」
とした上で、
「第1に、監査役会設置会社の取締役会は、社外取締役が法律上要求されているわけではないが、取締役会の監督機能を担保するものとして、独立性を有する社外取締役が2人以上含まれ、委員会設置会社の取締役会は、その構成員の過半数が独立社外取締役でもって構成される。」(ことが望ましい)
「第2に、社外取締役は、会社法上の社外取締役の要件を充足するだけでなく、その役割に相応しい実質的な独立性を具有することが求められる。したがって、親会社や主要な取引先等の取締役または使用人が子会社、特に上場子会社の社外取締役を兼務すること、取締役の相互派遣等はこれを避けるものとし、社外取締役の就任期間は継続して5年を超えない。」(ことが望ましい)
と述べています。
ここでのポイントは、①独立取締役制度(取締役の独立性を問題とし、独立取締役を一定割合以上確保することを要求する制度)の導入、②監査役会設置会社にも社外取締役を要求、③委員会設置会社にはNYSE基準と同じ「過半数が独立取締役から成る取締役会」を要求、の3点になります。いずれも、取締役会自体の業務執行監督機能を大いに期待する方向性での改革案であり、アメリカ型を志向するものであると考えます。

②案について
②案は、これまでの度重なる商法改正によってもその向上の度合いに疑問が呈されてきた監査役の監督機能を何とかして高めたいと望む立場です。しかし、日本の監査役制度は他国に例を見ないことから、その改革となると、上記①案のように他国の制度を参考にして・・・というわけにも行きません。そこで、大杉謙一中央大学教授が「監査役制度改造論」というタイトルで述べておられるように(*1)、「その半数以上が社外出身者である監査役」(*2)が「業務執行を行わない取締役」を兼ねることを認める(あるいは要求する)方法によって、当該監査役に取締役会での議決権を与え(とりわけ取締役と監査役の選任議案について関与する権限を与える)、監査役が取締役の人事に関与し、かつ妥当性監査まで行えるように持って行くといった「改造案」を考える必要が出てきます。ここでのポイントは、監督者の人事に業務執行者の意思を介入させないことも重要ですが、何よりもまず「監督者に業務執行者の任免権を与える必要がある」ということです。久保利英明弁護士が、日本の監査役制度は「人事と予算により武力を掌握したものが、常に圧倒的な優位に立つという大原則を無視している」、「カネとポストの配分権限を握られてなおかつ監査・監督することを期待するのは無理」などと述べておられるように(*3)、何十年にも亘って形成されてきた取締役と監査役の上下関係をひっくり返す必要があります。それを端的に表現すれば、監査役が取締役を選任するドイツ型が良いのではないかということです。大杉教授の上記改造案は、ドラスティック過ぎる変更とならないよう、監査役をまず取締役会のメンバーにしてしまう経過措置的アイデアと言えますが、②案を突き詰めていけば、株主総会→監査役→取締役というドイツ型二層制監督制度に行き着くものと考えます。

③案について
③案は、平成15年から導入されている委員会設置会社を当初の理念どおりに有効に活用していこうとする立場です。委員会設置会社に移行すれば、監査役は存在しなくなり、アメリカ同様、「監督者としての取締役」と「業務執行者としての執行役」が生まれますので、社内体制は大きく変わりますが、委員会設置会社では取締役が執行役を選任しますので、上で述べた「監督者に業務執行者の任免権を与える必要がある」という点について解決されることになり、うまく行けば「監査役制度改革」路線よりも大きな効果が得られる可能性があります。

では、いずれの案が今の日本に最も合っており、かつ、監督制度として優れているのでしょうか? 続きは次回のコラムで書きたいと思います。


(*1) 商事法務1796号4頁
(*2) 監査役会設置会社では、監査役の半数以上は「社外監査役」でなければならない(会社法335条3項)。
(*3) 久保利英明「委員会等設置会社と新しいコーポレートガバナンス」(『商事法への提言』落合誠一先生・還暦記念、商事法務、1頁)

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