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井垣太介 (Taisuke Igaki)

Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

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クロスボーダーM&Aと外資規制(その6)~外資規制はどうあるべきか~

米国の外資規制は、日本と異なり、事後介入方式となっています(*1)。また、エクソン・フロリオ条項は、対象業種を限定的に規定せず、全ての業種が規制される可能性がある点に特徴があります。よって、ここは事後介入形式ともあいまって、「予見可能性」という点では国際的に批判が強いところです。

日本は、前述のとおり、個別業法の改正によって外資規制を行う傾向があるため、その都度、海外から「外資に対して閉鎖的だ」と言われることがありますが、規定を曖昧にし、大統領と委員会の判断によって必要に応じて規制ができる構造を採っているアメリカの方が、外資規制は厳しいと考えられます。また、中国では、中国国内投資家向けのA株、海外投資家向けのB株、香港上場株であるH株など、いくつかの種類がありますが、A株という種類の株式が存在すること自体が強力な外資規制になっていると言えます。

その他、外資規制が厳しいか緩やかかという議論をする際には、それぞれの国がどれほど海外からの資本を必要としているかにも注目する必要があると考えます(海外資本を切望する国が緩やかな外資規制を採るのは当然であるため)。経済構造に関しては、確かに日本は輸出を重視している部分もありますが(*2)、それは積極的な外資導入が必要な理由にはならないと思います。どこの国でも、国内企業が発展するためには、
① 十分な内需があること
② その内需に応える十分な事業があること
③ その事業を行う十分な資金があること
の三つの要素が必要ですが、日本の場合は、(少子化の影響で①は懸念されているものの)現状では①と③についてはそれほど問題はありません。問題は、モノ作り国家日本の一番の強みである②が空洞化しつつあるということではないでしょうか。発展途上国は、通常③の要素に欠けるために外資導入を促進しますが、日本の場合はこれと同様に考えることはできません。確かに、外需頼みの経済成長は不安定ではありますが、内需を支えるために「内需関連事業」そのものが必要なのか、「海外からのお金」が必要なのかについては、明確に分けて考える必要があると思います。事業を行うための資金がないわけではない日本の場合は、むしろ、「外資導入=投資資金の回収というエグジットが必ずある=日本が抱える豊富な個人資産が流出する可能性がある」と考えた上で、必要な規制を行い(アメリカがエクソン・フロリオ条項を維持するのであれば、日本も同様の規制を導入することを検討すべき)、外需を求めつつも内需関連産業の再発展に重点を置くべき時期に来ていると感じます。

クロスボーダーM&Aに関わっていると、常に、海外の企業を買うことの意味を考えさせられます。ストラティジック・バイヤーの場合は、シナジー効果を狙ってのものが多いと言えますが、フィナンシャル・バイヤーの場合は、キャピタル・ゲインの取得が主目的です。また、ストラティジック・バイヤーの場合でも、それがファンドのポートフォリオ・カンパニーであれば、結局は、キャピタル・ゲインの増大を狙って戦略が立てられます。近年流行しているMBOのほとんどがファンド絡みである点にも注目する必要があります。キャピタル・ゲインの取得が目的であっても、そのためには事業内容そのものを改善する必要があり、マッコーリー銀行が取得した「箱根ターンパイク」のように、結果として事業・産業の発展につながるケースも少なくありませんので、金融界の原理が「ほんの少し」産業界にも持ち込まれることについては賛成しますが、海外からの圧力に負けて外資導入論を唱えたり、逆に、徒に外資脅威論を唱えるのではなく、常に「日本に足りないものを補う」という基本発想を持っておくことが大切だと感じます。


(*1) 日本と同様事前届出を要求している例としては、<フランス>が挙げられますが、対象となる業種が日本よりも少なく、規制される株式保有比率は3分の1以上となっていますので、日本(10%以上)よりも緩やかな規制となっています。なお、英国は、米国と同じように事後介入方式です。各国の外資規制に関する日本語での説明については、<ジェトロのウェブサイト>をご覧ください。
(*2) 日本の輸出高は平成19年で約84兆円(出展:<財務省の統計>)、他方、日本のGDPは平成17年で約501兆円 (出展:<総務省の統計>)となっています。

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