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井垣太介 (Taisuke Igaki)

Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
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クロスボーダーM&Aと外資規制(その5)~アメリカの状況~

米国の外資規制は、「エクソン・フロリオ条項」(Exon-Florio provision)(*1)によって行われており、米国内直接投資(FDI)の内容が米安全保障にかかわるものと大統領が判断した場合には、エクソン・フロリオ条項が適用され、当該FDI が規制されます。エクソン・フロリオ条項の適用については、財務省が委員長を務めるCFIUS(米国内外資委員会)(*2)が監督しています。

アメリカでは、2006年に、中東・アラブ首長国連邦の政府系港湾運営会社であるDubai Ports Worldが、ニューヨークなどアメリカ東海岸の7つの貨物港の運営を手掛けることになったことに関して、国内でFDI規制に関する大きな論争が発生しました。CFIUSはDubai Ports WorldのUS貨物港取得について一旦承認しましたが、その直後から米議会が党派を超えてこれに反対し、議会はCFIUSに対しその承認を撤回するよう要求しました。このような流れの中で、Dubai Ports Worldは貨物港関連の資産を手放すことに同意しましたが、この事件の後に、外資規制をもっと厳しく行った方が良いという意見が米国内で強まり、2007年には、CFIUSによる調査手続を更に細かく、厳しくするための改正が行われたところです。

エクソン・フロリオ条項によれば、外国人(政府・法人を含む)による米企業の買収・合併・取得が米国の国家安全保障に脅威を与えると判断される場合には、当該M&A取引を適当な期間停止または禁止することができるとされています。規制の対象となるのは、

(1) 外国企業(投資機関や投資家も含む)が米企業の実権を握ることによって、米国の国家安全保障に脅威を与える行動に出る可能性を示す証拠がある場合
(2) 国際緊急経済力法(International Emergency Economic Powers Act)を除いて、国家安全保障を守るための適切かつ効果的な権限を与える条項がない場合


の二つのケースです。CFIUS がかかるM&A取引が行われている旨の告知を受けると投資内容の精査を始め、必要に応じて、本格的調査に発展する場合もあります。本格的調査を行う場合、告知の日から30 日以内に開始され、いかなる場合も開始から45 日以内に完了しなければならないとされています。大統領は、調査結果の報告を受けると、その日から15 日以内に判断を下さなければならないことになっています。

エクソン・フロリオ条項は、「国家安全保障へ影響が及ぶかどうか」を判断する要素として、以下のものを挙げています(原文はこちら:http://www.ustreas.gov/offices/international-affairs/exon-florio/)。

(1) domestic production needed for projected national defense requirements;
(2) the capability and capacity of domestic industries to meet national defense requirements, including the availability of human resources, products, technology, materials, and other supplies and services;
(3) the control of domestic industries and commercial activity by foreign citizens as it affects the capability and capacity of the U.S. to meet the requirements of national security;
(4) the potential effects of the transaction on the sales of military goods, equipment, or technology to a country that supports terrorism or proliferates missile technology or chemical and biological weapons; and
(5) the potential effects of the transaction on U.S. technological leadership in areas affecting U.S. national security.

(訳:
(1) 国家防衛のために必要と見込まれる国内生産かどうか
(2) 国家防衛のために必要とされる要求を満たす能力(人的資源、製品、技術、資材、その他関連サービス)を持っているかどうか
(3) 外国人(政府・法人を含む)が実権を握る米国内生産や商業活動が、国家安全保障のための必要事項に影響を与えるかどうか
(4) テロリズムやミサイル技術拡散、化学あるいは生物学兵器を後方支援する国への軍事製品および軍事技術投資(企業買収も含めて)に対する影響が潜在するかどうか
(5) 国家安全保障に関するいかなる領域において、米国の技術的主導権に対して、当該投資が何らかの潜在的影響力を持っているかどうか)

日本が目指すべき外資規制の態様に関する個人的意見については、次のコラムで書きたいと思います。


(*1) 米国内直接投資(FDI)を尊重しながらも国家安全保障を守る目的で国防生産法(Defense Production Act)を修正した条項がエクソン・フロリオ修正条項で、1988 年に発効しました。
(*2) 同委員会は、複数省庁(財務省の他は国務省、国防省、商務省、司法省、米通商代表部、経済諮問委員会、行政管理予算局、科学・技術政策局など)から構成されています。

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