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井垣太介 (Taisuke Igaki)

Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
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クロスボーダーM&Aと外資規制(その4)~日本の状況~

英投資ファンドで「モノ言う株主」としても知られるザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)は、2008年1月15日付けで、国内の電力需要の1割弱を供給する電力卸の最大手であるJパワー株の買い増し(現在の9.9%から20%へ)を求めて事前届出を行いました。これに対して、経済産業省は、TCIがJパワーの発電や送電事業などにどのように関わる予定かを詳細に審査するために、当初2月13日までとしていた審査期間を最長で5月中旬まで延ばすことを決めました(審査期間は申請から原則30日ですが、4カ月まで延長可能)。ここで進行している手続が、外為法の「事前届出」手続です。以下、法令の内容について見ていきたいと思います。

5 事前届出が必要な取引

対内直接投資の事前届出となるのは、次の(1)、(2)のいずれかに該当する場合です。
(1) 外国投資家の国籍が「日本または掲載国(*1)」以外のもの。
(2) 投資先の事業目的が「事前届出業種(*2)」であるもの。

事前届出は、取引または行為を行おうとする日の前3か月以内に、直投命令に定められた様式により、日本銀行を経由して財務大臣および事業所管大臣宛てに行う必要があります(法27条1項、直投令3条3項)。

以上をまとめますと、「届出・報告不要とされた取引」を除いて、
① 対内直接投資に関する条約等がない国(アフリカ・中央アジアの一部)からの投資 ・・・ 事前届出
② 上記以外の国からの場合
・ 航空機、武器、原子力、宇宙開発、エネルギー、通信、放送、石油産業等に対する投資 ・・・ 事前届出
・ それ以外 ・・・ 事後報告

ということになります。

なお、外為法による規制の他に、各業法によっても外資規制が行われています。例えば、電波法は、外国人、外国人が代表を務める法人、外国人が役員の3分の1以上を占める法人、外国人が議決権の3分の1以上を占める法人には無線局免許を与えないとしていますし、航空法においても、外国人、外国人が代表を務める法人、外国人が役員の3分の1以上を占める法人、外国人が議決権の3分の1以上を占める法人に該当する者が所有する航空機は、登録することができないとされています。このほか、NTT法は、NTTの持ち株会社である日本電信電話の議決権の5分の1以上を外国人が保有する事を禁止しています。外資規制については、世界的には個別業法ではなく外為法によって行うのが一般的と言われており、今回、国土交通省が空港整備法といった特定の「業法」を改正することによって外資規制を行おうとしていることについては、その点からの批判も聞かれるところです。


(*1) 「対内直投命令別表1」に、「事後報告」対象国(すなわち事前届出が必要ない国)として掲載されている163カ国
(*2) 事前届出業種とは、「告示別表第一および別表第二に掲げる業種に該当する業種」または「別表第三に掲載されている業種に該当しない業種」をいいます。「別表第三」はいわゆる「事後報告業種」で、「別表第一」には、武器、航空機、人工衛星、ロケット、原子炉、核原料物質、それらに関する附属品やプログラムの製造業が含まれています。詳細は、<日銀国際局のウェブサイト>をご覧ください。

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