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井垣太介 (Taisuke Igaki)

Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

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今週のメッセージ(2008年3月29日)~インフラファンドと外資規制~

ニューヨークでは未だに最低気温が摂氏ゼロ度くらいまで下がる日がありますが、少しずつ春の気配が感じられるようになりました。春が近づくとときどき思い出す場所があります。私が学生時代に仲間と一緒に度々訪れた「箱根」です。朝早く、クルマやバイクで東京を出発し、小田原を抜けて、「箱根ターンパイク」(*1)の入り口に辿り着いたところで、自然と気分が高揚します。「箱根ターンパイク」は、新車の試乗記などで利用されるいわば「テストコース」のような場所で、走ることが好きな人にとっては聖地のような存在だったからです。アクセルを全開にして人もまばらなターンパイクを攻めたかどうかはご想像にお任せしますが、不思議なほどにクルマが少ないターンパイクを駆け上がり、県道75号湯河原箱根仙石原線と箱根ターンパイク大観山線とのT字路にある「大観山ドライブイン」で一息つきます。「大観山ドライブイン」は芦ノ湖と富士山を望む、日本景勝百選地の一つであり、東京の喧騒を逃れてリフレッシュするには最適の場所でした。ここから県道75号湯河原箱根仙石原線、通称、「椿峠」を一気に下ります。「椿峠」はターンパイクとは異なり、小さなコーナーが延々と続くテクニカルコースで、当時、私が好きな道路の一つでした。

あれから12年後、シカゴに移り住んだ私は、シカゴのスカイウェイ(*2)に関する記事を読んでいるときに、「箱根ターンパイク」と「シカゴ・スカイウェイ」の共通点に気付きました。それは、その2つの道路が共にオーストラリアの<マッコーリー・グループ(Macquarie Group)>に管理されているということです。

「箱根ターンパイク」は、長年東急電鉄グループによって管理されていましたが、赤字が続き(どうりでクルマが少なかったはずです)、2003年秋にオーストラリア最大の投資銀行であるマッコーリー銀行に約12億円で買収されました。マッコーリーは、その後「命名権ビジネス」も手掛け、「箱根ターンパイク」の命名権を獲得したトーヨータイヤは、2007年3月に「箱根ターンパイク」を<「TOYO TIRES ターンパイク」>と改称し、現在に至っています(上記「大観山ドライブイン」も、「TOYO TIRES ビューラウンジ」へ改称)。
他方、シカゴで唯一の有料道路であるシカゴ・スカイウェイは、2004 年に、その99 年間にわたる運営権が18 億3000 万ドルで売却されましたが、これを購入したのが、スペインのシントラ(Cintra)社とオーストラリアのマッコーリー銀行(Macquarie Bank)のJVでした。これは、アメリカにおける既存有料道路の最初の売却例でもありました。

さて、こういった例に見られるように、世界各地で「インフラファンド」の動きが活発化しています。インフラ事業とは、社会・経済を支える基本的なサービス、設備、機能など - 主に、交通(道路・空港・港湾・鉄道)、エネルギー(電気、ガス、水道)、衛星、通信、駐車場など - に関する事業のことを言いますが、インフラ事業では、経営方法さえ適切であれば比較的長期で安定したキャッシュフローが見込めることから、投資ファンドや年金基金などの機関投資家がインフラ事業を取得し、民間の経営手法を導入し経費削減などを行うことによって収益を改善し、投資資金の価値最大化を図るという「インフラ投資ビジネス」が近年のブームとなっているのです。

実際に、マッコーリー銀行は、「箱根ターンパイク」の買収後直ちに、人件費削減のほか、買収前は二次下請け会社だった企業を対象に工事の入札を実施するなどの手法によって、買収の翌年には黒字転換させました(*3)。マッコーリー銀行の近年の業績は大幅に上昇しており(*4)、同銀行のインフラ投資ビジネスが成功を収めていることを物語っています(*5)。

ただ、道路については「公共物」であるとの認識が強く、道路法は主要有料道路や国道を民間企業が管理することを制限しています。また、インフラ事業・社会資本に関してはどこまで「民間開放」を認めるかという問題に加えて、どこまで「外資規制」を行うかという問題も盛んに論じられています。この点に関係して昨年から新聞を賑わせているのが、マッコーリー銀行が、2007年夏に、羽田空港ターミナルビルを所有する「日本空港ビルデング」(東証1部上場)の株式約20%を取得したことをきっかけに議論が白熱している「空港外資規制」の問題です(*6)。

海外企業に投資を行うクロスボーダーM&Aにおいては、「外資規制」は重要な問題となりますので、次回以降のコラムにおいて、この「外資規制」について紹介・検討したいと思います。

(*1) 神奈川県小田原市から箱根町を経由し、同県湯河原町に至る、延長15.8kmの観光有料道路。
(*2) インディアナ州につながる全長12kmの有料道路。
(*3) マッコーリー・ジャパン社のインタビュー:http://219.94.168.109/scty/tr/hp_kakogiji5.pdf
(*4) http://www.macquarie.com.au/au/about_macquarie/investor_information/five_year_summary.htm
(*5) マッコーリー銀行は、そのほかシドニー国際空港やローマ空港の空港運営も手掛けているほか、日本では、近畿日本鉄道から伊吹山ドライブウェイを買収しました。
(*6) 空港ビル運営会社への外資参入規制は存在しなかったところ、国土交通省は、「安全保障上問題がある」として、外資の出資比率を「議決権ベースで3分の1未満」に抑えることを目指し、外資出資規制を定めた改正法案(空港整備法の改正法案)を提出しましたが、議論が紛糾し閣議決定が先送りされました。

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