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Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
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アメリカの取締役の義務(Fiduciary Duty)の内容

アメリカの会社の取締役は、株主に対して受託者としてFiduciary Dutyを負い、この義務のうち最も重要なものが、Duty of LoyaltyDuty of Careです。

原告(株主)がDuty of Care違反を主張しているときは、取締役はBusiness Judgment Rule を主張し、同Ruleが適用されれば、取締役は原告が取締役の重過失を立証した場合にのみ有責となります。

原告がDuty of Loyalty 違反を主張している場合(主に、取締役と会社の間に利益相反状況が存在する場合)には、Business Judgment RuleではなくEntire Fairness Testが適用されることになり、取締役は自らの判断が公正であったことを立証しなければなりません。また、Duty of Loyalty 違反が確定した場合には、デラウエア州会社法102条b項7号の取締役の責任制限条項、同145条の取締役への補償条項・責任保険条項の適用がありません。

このようにアメリカでは、Duty of LoyaltyとDuty of Careの棲み分けが比較的明確にできています。そもそもの背景として、アメリカには社外取締役が多いため、その分、取締役と会社・株主との利益対立が生じる場面も多いと考えられます。かかる社外取締役の責任追及の形態としては、利害相反状況にあるときはDuty of Loyaltyを適用して取締役の行動を厳しく規律するのに対し、利益相反状況がないときにはDuty of Care、すなわちBusiness Judgment Ruleを適用していわば「甘く」接するという二分法が自然なのでしょう。日本においては、アメリカのような明確な二分法は適用できないという見解が通説になっているようですが、その違いは上記のような背景にも基づいていると考えられます。

なお、近時、デラウエア州裁判所は、ディズニー事件(*1)やストーン事件(*2)を通して、これまでその位置づけが問題となっていたDuty of Good Faith という類型に関して判断を示しました。Duty of Good Faithとは、「意図的な義務放棄(intentional dereliction of duty)」「意識的な義務軽視(conscious disregard for one's responsibilities)」を指し、これらは従来Duty of Careの一類型と考えられてきましたが、上記判決を経て、現在は、むしろDuty of Loyalty違反の一類型と考えられるようになっています。

(*1) In re The Walt Disney Company Derivative Litigation, 906 A.2d 27(2006)
(*2) Stone v.Ritter, 911 A.2d 362(2006)

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