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Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

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M&Aと独禁法(その7)(日本の場合-事前相談制度)

合併等のM&A案件について検討を開始した場合、当事会社及び弁護士は、その計画が独禁法第4章の各規定に照らして問題がないかどうかをチェックしますが、いざ公正取引委員会に対して届出を行い、その後になって排除措置命令や審判請求といった手続を経ることになれば、M&Aのスケジュールは大幅に遅れ、最悪のケースでは当事者双方が多額の費用を掛けて契約にまで至ったにもかかわらず、結局クロージングを迎えることができなかったということも考えられます。そこで、現在では、公取委に対して事前相談を行うのが通常であり、公取委側もそのニーズに対応し審査の手順を透明化するために、<企業結合計画に関する事前相談に対する対応方針>という方針を公表しています(平成19年3月28日最終改定)。

手続としては、原則として、事前相談の申し出があった日から20日以内第1次審査が始まり、特段の問題が見当たらなければ審査開始日から30日以内にその旨通知されます。第1次審査の結果、独禁法上の問題が考えられるという場合には、第2次審査に進みます。第2次審査に進むと、公取委は相談内容を公表し、関係者からの意見を募集しますので、それを前提に報道発表の準備などを行う必要があります。第2次審査においては、企業側が必要な資料を提出した日から原則として90日以内に、結果の通知がなされます。

ところで、平成19年3月28日付けで公表された新「方針」における改正点は、3点ありました。

1点目は、審査手続の迅速化です。これまでの事前相談については、企業結合計画の具体的内容を示す資料が提出された時点から30日以内に回答がもらえることになっていたものの、具体的内容を示す資料の内容はケース・バイ・ケースで、資料を出しても公取委から追加資料を要求される限り最終回答がもらえず、スケジュールに悪影響を与える可能性が払拭できませんでした。
今回の改正で、公取委は、「事前相談の申出があった場合、審査の開始に必要な追加資料の有無を検討し、当該企業結合計画の具体的内容を示す資料が提出された日から原則として20日以内に、追加資料が必要ないと判断した場合にはその旨を通知する一方、追加資料が必要と判断した場合には追加資料リストを書面で提示する。」と明記しましたので、スケジュールが立てやすくなりました。

改正の2点目は、「企業結合計画の概要を示すものとして提出が必須の資料」と企業側が任意に提出できる資料が区別され、任意提出資料については例示されたことです。これにより、企業にとっては資料の収集と整理がしやすくなりました。

3点目は、「当事会社は、事前相談の申出時に限らず、当委員会の審査中のどの時点においても、提出すべきと考える資料・意見書等がある場合にはそれらを提出することができる。」とされたことです。これによって、企業側も十分な反論の機会が与えられます。

ところで、事前相談に持ち込んだものの、統合後の市場シェアが50%を超えるようなM&A計画のケースでは、何らかの問題解消措置を採らなければ企業結合が認められないことが多いのが実情です。例えば、JALとJASの持株会社による事業統合のケースでは、統合後のシェアが50%を超えるにも拘らず、公取委が事前相談に対して「競争が実質的に制限されることとはならない」と回答しましたが、これは、企業側が問題解消措置として、
① 羽田発着枠の返上、空港施設の提供、航空機整備面での協力など新規参入を促進する措置をとる、
② 普通運賃を10%引き下げ、3年間は値上げしない、
③ 統合により単独となる路線に関して割引運賃を設定する
といった問題解消措置を申し出たからでした。そのほかにも、シェアが50%を超えることになる企業結合が認められたケースは少なからずありますので、それらについては別の機会に紹介したいと思います。

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