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井垣太介 (Taisuke Igaki)

Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
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上場会社による100%子会社の合併方法

上場企業が100%子会社を吸収合併するケースは少なくないと思いますので、その際の方法について簡単に整理します。

まず、親会社側については、通常、簡易合併となり株主総会決議が要りません。
簡易合併が認められるための要件の概略は、以下の①を満たし、かつ②及び③に該当しないこととされています。なお、親会社の株主の(原則)6分の1以上(会社法施行規則197条)が当該合併に反対する場合には株主総会の開催が必要となりますが(会社法796条4項)、実務上かかる可能性は少ないと思われます(*1)。
① (合併対価が株式である場合)合併において交付される株式数が発行済株式総数の5分の1以下であること(会社法796条3項本文)
② 存続会社の全株式が譲渡制限株式であり、かつ、合併対価の全部又は一部がかかる存続会社の譲渡制限株式である場合(会社法796条3項ただし書、同条1項ただし書)
③ 存続会社に合併差損が生じる場合(会社法796条3項ただし書、795条2項各号)


100%子会社の合併は通常「無対価の吸収合併」になりますので、上記①は常に満たし、また親会社が上場会社であれば上記②も当然に充足することとなります。
他方、③については、子会社が債務超過の状態になかったとしても安心はできず、親会社のB/S上に計上されている子会社の株式が消滅することとなるため、いわゆる「抱合せ株式の消滅による抱合せ損」が生じる可能性がある点に注意が必要です。

かかる抱合せ損が生じる場合には、たとえ資産超過会社を吸収合併する場合においても、簡易合併の要件である上記③を充足しないこととなり(会社法796条3項ただし書、795条2項1号、会社法施行規則195条1項、2項)、親会社において株主総会決議が必要になります。抱合せ損が生じるか否かは、概略でいえば、(1)親会社において計上されている子会社株式の帳簿価格と(2)子会社の純資産の額の比較を行って判断することになりますが、(2)については子会社の連結上の帳簿価格を用いるといった留意点もありますので、具体的な判定を行う際には、会計士、監査法人等の意見も確認するのが望ましいでしょう。

続いて、子会社側においては、略式合併を検討することになります。略式合併が認められるための要件の概略は、以下の①を満たし、かつ②に該当しないこととされています。
①存続会社が消滅会社の総議決権の90%以上を有している「特別支配会社」(その意義については、会社法468条1項、会社法施行規則136条1項をご覧ください。)であること(会社法784条1項本文)
②合併対価の全部又は一部が譲渡制限株式である場合であって、消滅会社が公開会社であり、かつ種類株式発行会社でないとき(法784条ただし書)

上場会社による100%子会社の吸収合併の場合、上記①及び②のいずれも充足しますので、子会社側においては株主総会の開催が不要になります。

最後に、例えば、決算期が3月31日で合併の効力発生日が4月1日の場合、当該事業年度における子会社側の決算書類の作成や公告はどのように処理するべきかが問題となります。
この点、合併の効力発生日以後は、子会社の決算書類の作成及び取締役会による決定、株主総会による決議及びその後の公告といった手続を行うべき子会社の機関が消滅しているため、これらの手続はできず、かつ、その必要もないということになります。
もっとも、消滅会社の確定申告については、存続会社が行う必要がありますので留意が必要です(国税通則法6条)。

【執筆:弁護士岩谷博紀】


(*1) 詳細は、「簡易組織再編の原則と例外」をご参照ください。

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