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井垣太介 (Taisuke Igaki)

Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

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震災関連法務(その1)

先週は、多数の日本企業が、東日本大震災を契機とする業績予想の下方修正及び特別損失(震災関連費用)の計上をリリースしました。工場等の生産設備等の復旧費用、工場操業が停止したことによる損失、被災した取引先への貸倒引当金の計上、たな卸資産の評価損等、併せると一企業で一千億円を超える特別損失を計上した企業もあり、震災関連損失は日本全体で2兆円を超えると報じられています。私が個人的に関与していたM&A案件のうち、いくつかは既に相当程度手続が進んでいたこともあり震災の影響を受けつつも無事に成約に至りましたが、他方で、対象企業の今後の事業計画が見えなくなったこと、又は買い手の資金を他の用途に使わなければならなくなったことなどから中止となった案件もあります。
 
既に相当数の震災関連法務の論稿が発表され、会社法、金融商品取引法、労働法、下請法等の各法分野における法務対応のA to Zが出揃いつつありますので、M&Aに関連するか否かに関わらず、現時点で整理されている震災関連法務を紹介した上で、企業の法務部が次の災害に向けて準備をしておきたい事項についても言及したいと思います。

1.既に一定程度整理されている事項

(1)定時株主総会対応
定時株主総会は、設定された基準日の有効期間(3か月、会社法124条2項)に照らして、毎年、決算期末日から3か月以内に開催される(会社法296条1項)旨定款に規定されていることが通常ですが、必要な公告要件を充たした上で基準日を再設定する方法により定時株主総会の開催時期を遅らせることが可能です。法務省も、震災後に、当初予定した時期に定時株主総会を開催できない状況が生じている場合には、そのような状況が解消され、開催が可能になった時点で定時株主総会を開催すれば会社法296条1項にも定款にも反しない旨公表していますので、定時株主総会開催時期に関する問題はほぼクリアされています。

なお、多くの会社は、剰余金配当基準日を定款において定めていますので、「剰余金配当の効力発生日を、定款に規定された基準日から3か月以内とする内容の株主総会決議を行う必要がある」という法規制(会社法454条1項等)に従い、当該決議が間に合わない場合には別途公告を行い、基準日を設定した上で配当を行うことになります。
続いて、被災地の株主については議決権行使が物理的に困難な状況に陥る場合があるため、株主が1000人以下の会社においては任意とされている書面による議決権行使(会社法298条1項3号)、又は電磁的方法による議決権行使(会社法298条1項4号)を認める方向での配慮が必要と考えられます。

(2)上場企業の開示に関する特例
有価証券報告書及び半期報告書は、各年度・期間経過後3か月以内(金商法24条1項、24条の5第1項)の、四半期報告書は各期間経過後45日以内(金商法24条の4の7第1項)の提出が求められ、これを徒過した場合には監理銘柄に指定され上場廃止基準の該当性が確認される実務になっていますが、「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律」(以下「特別措置法」といいます。)及び関連政令により、東日本大震災による災害が特定非常災害と認定され、上記報告書の提出期限が平成23年6月30日までとされたことに加え、震災により(本社が被災した場合のみならず、支店・工場や重要な取引先の被災により決算作業が困難となった場合など、間接的な影響によるものを含みます)、本来の提出期限までに有価証券報告書を提出できない3月決算企業などについて、同年9月末まで提出期限が延長されることになる見込みです。

また、証券取引所は、震災により業績見通しを立てることが困難な場合には決算短信及び四半期決算短信において業績予想を開示する必要がないものとし、かつ、震災により監査報告書又は四半期レビュー報告書において意見不表明の記載がなされた場合であっても監理銘柄指定及び上場廃止の対象にはならない(その旨の開示も不要)としています。

その他、震災により滅失・棄損した資産の帳簿価額が最終事業年度末日における純資産額の3%以上である場合には、可能な範囲で速やかに臨時報告書を提出することが求められています(金商法24条の5第4項、企業内容等開示府令19条2項5項)。また、開示とは直接関係はありませんが、東京証券取引所等の証券取引所において、震災による特別損失の計上で債務超過になった場合、上場廃止までの猶予期間を通常の1年間から2年間に延長することが発表されています。

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