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Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
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MBOの際の「公正な価格」とは(その1)

近年、レックス事件やサンスター事件など、裁判所に持ち込まれるMBO案件が増えていますので、紛争になりやすいMBOにおける「公正な価格」の意味について整理しておきたいと思います。

まず、MBO(Management Buy Out)とは、一般に、現在の経営者が単独で、あるいは投資ファンド等と共同で資金を出資し、事業の継続を前提として、自らが経営を行っている会社の株式を購入することをいい、MBOの目的は、スクイーズアウト後に上場廃止して少数株主の管理コストを削減するとともに、所有と経営を一致させ、株式市場からの短期的な圧力を回避して長期的な視点に立った経営を可能とすることで、企業価値を向上させる点にあります。

レックス事件を念頭に置くと、MBOを実施する手法の例(*1)は、以下のとおりとなります。
① 公開買付け(*2)
② 会社を種類株式発行会社に変更
③ 発行済みのすべての普通株式に全部取得条項を付す(会社法107条)
④ 全部取得条項付種類株式1株に対して普通株式X株(*3)を交付することを対価として全部取得条項付種類株式を取得(会社法171条)
⑤ 裁判所の許可を得て、端株を買い取る(会社法234条)
⑥ もって少数反対株主を締め出す(スクイーズアウト)

MBOに関しては、近年、株式取得価格決定申立事件(会社法172条1項(*4))が複数発生しています。この株式取得価格決定申立権の趣旨は、強制的に株式を剥奪されることになる株主の保護にありますが、裁判においては、「取得価格」(会社法172条1項)として適切な価格がいくらであるかが争点になります。

代表的な株式取得価格決定申立事件(*5)としては、レックスホールディング事件、サンスター事件、サイバード事件などがあります。これらの事件の内容及び公正な価格に関する考え方について、次回以降で詳述していきます。
【執筆:弁護士吉村尚美】


(*1) MBOの方法として、公開買付けと、買収目的会社と対象会社との間での現金交付合併・株式交換のいずれの方法を採用するかについては、税務上の観点から決定される場合が多い。買収目的会社と対象会社との間で、買収目的会社を合併存続会社又は株式交換完全親会社とする現金交付合併・株式交換を行う方法は、税制上、適格合併・適格株式交換の要件を充足せず、吸収合併消滅会社・株式交換完全子会社の資産及び負債の一定のものにつき時価評価され、吸収合併消滅会社・株式交換完全子会社に課税が生じうる。
(*2) 金融商品取引法27条の2第1項
(*3) すべてが端株となるようにXの数値を設定する。
(*4) 全部取得条項付種類株式の全部取得に対して裁判所に対する価格決定の申立をする。あるいは、前段階の既存株式を全部取得条項付種類株式に変更する定款変更に対して反対株主の株式買取請求権の行使ができる(会社法116条、117条)。
(*5) 類似の事件として、①カネボウ事件(H20.3.14東京地裁決定):旧商法下での営業譲渡に反対する株主による株式買取請求権行使事件(地裁決定では、TOB価格を否定、鑑定書に基づく評価額を追認。現在東京高裁で係争中)。②日興コーディアル事件(H21.3.31東京地裁決定):日興コーディアルとシティグループジャパンホールディングスとの間の株式交換に反対した株主による株式買取請求事件。公開買付け価格を買取価格として決定した。

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