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Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

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改正独禁法がM&A実務に与える影響(その1)

独禁法の改正については本ブログでも度々取り上げてきましたが,ようやく2009年6月3日に独禁法改正法案が国会で可決成立し,2010年1月1日または4月1日から施行されることになりましたので,改めて,今回の改正がM&A実務に与える影響について整理しておきます。

改正の最大ポイントは,これまで30日以内の事後報告で済んでいた株式取得が,30日前の事前届出制に変更されたことです(欧米では事前届出が原則ですので,日本がそれに合わせた形になりました)。株式取得はM&Aの代表選手であり,とりわけ国境をまたいだM&Aの場合はほとんどが株式取得になりますので,今回の改正のインパクトは大きいと思います。

実務上,注意しなければならないのはスケジューリングです。単にクロージング日よりも前に届け出れば良いというものではなく,30日間の待機期間(株式取得禁止期間)が設定されている(改正法10条8項)ことから,例えばクロージングを10月1日とするならば,届出は遅くとも8月31日までにしておく必要があります。更に悩ましいのは,公取委による排除措置命令が出る可能性がある期間が,「届出受理日から120日を経過した日または報告等の受理日から90日を経過した日のいずれか遅い日」まで延長されうるとされている点です(改正法10条9項)。すなわち,8月31日に届出をした案件については,年末あたりまで排除措置命令がありうるということになってしまいます。よって,例えばM&A後のマーケットシェアが大きい案件については,相当前倒しで公取委への届出をしなければならないということになります。

しかし,他方で,あまり前倒しで報告してしまうと,上場会社の場合,適時開示規制によってプレスリリース日も早まるという問題が発生します(公取委へ事前届出を行うタイミングで会社内部の機関決定が行われるため)。公開買付けによる株式取得を考えている場合には,特にスケジュール管理が難しくなります。

また,改正法の施行日直前にクロージング日が来るような契約にしてしまうと,クロージングが何らかの事情で遅れて施行日をまたいでしまった場合に,遡って公取委への事前届出が必要だったということになってしまいます。実際には,遡って届出することはできませんから,クロージング日を1ヶ月以上遅らせるということになると思われますが,可能であれば,施行日よりも後にクロージング日を設定し,かつ,事前届出も済ませておくという手法が良さそうです。

次回のエントリーでは,届出基準の変更などについて触れたいと思います。

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