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Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

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表明保証条項を巡る紛争(日本のケース)(その1)

まずは、既に2年前の判例で、判例評釈も複数書かれていますのでご存知の方も多いと思いますが、M&Aに関する表明保証条項の解釈が問題となったアルコ事件-平成18年1月17日東京地裁判決(控訴審で和解が成立)-を紹介します。

【事案&判決要旨】(*1)
消費者金融会社A(株式会社アルコ)の企業買収を目的とするAの全株式の譲渡契約において、その譲渡価格(約23億円)はAの簿価純資産額により算出されており、株式の売主であるYらは、買主であるX(シンキ株式会社)との間で「Aの財務諸表は完全かつ正確であり、一般に承認された会計原則に従って作成されたものであること」等を表明保証し、この表明保証事項に違反があった場合にはこれによりXが被った損害を補償することを合意した。しかし、実際には、Aは、元本弁済に充当すべきであった和解債権についての弁済金を利息に充当し、同額の元本についての貸倒引当金の計上をしていなかった(その結果、貸借対照表上、簿価純資産額が不当に水増し計上されていた)。裁判所は表明保証条項違反を認めた上で、Xの悪意・重過失も否定し、YらはXに対して、不当に資産計上された利息充当額、本件和解債権処理を修正するための費用、本件訴訟を追行するための会計事務所・弁護士費用相当額の損害(合計3億円)を賠償する義務があると判示した。

・・・というものなのですが、本件では、売主側は、「本件和解債権処理の事実は、Due Diligenceの過程で提示した」と主張し、買主側はこれを否定しました。このようなやり合いは実務ではさほど多くはありません。というのも、近年のDue Diligenceにおいては、このような事後の紛争を避けるために、対象会社に対する質問があればペーパーで質問しペーパーで回答をもらうのが通常だからです。しかし、M&AのDue Diligenceでは、通常、経営陣等に対するインタビューが設定され、これは口頭で行われます。また、M&Aのスケジュールは非常にタイトであることが多く、相手方との協議の場が立て続けに設定されることもあるため、後日「口頭で伝えた、伝えなかった」という言い争いが発生することもありうるでしょう。本件の裁判所は、「買主側が当該事実を知り得たとはいえない」と認定しましたが、弁護士・会計士は、Due Diligenceの過程で示された事実を見落とさないよう注意するのはもちろんのこと、Due Diligenceの過程そのものとそこでやり取りした情報をなるべく記録に残すことが大切だと感じます。

(*1) 金融商事判例1234号6頁、金融法務事情1770号99頁、「M&A判例の分析と展開」(経済法令研究会)196頁

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