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Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

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企業結合に関する独禁法問題をクリアする方法(その4)

今日は,前回の続きとして,「輸入・参入促進措置」と「行動に関する措置」について述べたいと思います。

前回述べた事情譲渡・株式譲渡等の構造的措置については毎回採用できるわけではありません。そこで,事業譲渡先が容易に見つからないようなケースでは,競争者に対して,問題とされている商品をコストベースで(生産費用相当額で)供給する長期契約を締結すること(*1)が有効な問題解消措置であると評価されることがあります。また,別の方法として,新規の輸入・参入を促進する措置を申し出ることで競争制限を解消できると評価してもらえる場合もあります。例えば,当事会社が保有している輸入に必要な貯蔵庫や物流サービス部門を他の会社も利用できるよう開放したり(*2),当事会社が有している特許権等について競争者や新規参入者に適正な条件で実施許諾する方法(*3)がこれに該当します。これらの輸入・参入促進措置の問題点は,本当にこのような措置を採るだけで新規参入者が増えるかどうかが必ずしも明らかでないということです。港の貯蔵庫だけを開放すれば輸入者が増えるケースもあるでしょうし,貯蔵庫と物流網を両方開放しても,肝心の仕入先が独占されており結局当該商品を取り扱うことができないケースもあるでしょう。ケースごとに真に輸入・参入を促進する措置を講じることが求められると言えます。

続いて,「行動に関する措置」ですが,これは企業結合自体を認めた上で,例えば資材の共同調達行為などを禁止したり,研究開発・生産については統合会社が行うが,販売は当事会社が独立して行う措置になります。例えば,日本たばこ・RJRナビスコたばこ事業譲受事例(平成11年度事例13)では,JTがRJRナビスコブランドのタバコを日本に輸入することについては関与せず,自らも日本国内への輸入・販売を行わないという問題解消措置を採りました。また,広島ガスプロパン等による共同出資会社設立事例(平成8年度事例4)では,共同出資会社が充填業務を行うLPガスの卸売価格の決定や出資会社との間の委託手数料の決定は,当事会社(元売・卸売業者5社)間で協議をせずに個別に行うことが決められました。

以上が問題解消措置の概略になりますが,企業結合ガイドライン上,これらの問題解消措置は,変更または終了しても競争の実質的制限が発生するおそれがなくなったと判断できる場合には変更・終了できるとされています。


(*1) 当事会社の販売シェアが60%を占めることになった三井化学・武田薬品ウレタン事業統合事例(平成12年度事例9)では,国内市場の10数%に相当する部分について,ライバル会社に対して長期的生産受託契約に基づきコストベースで商品を供給することが問題解消措置として採られました。
(*2) 上記三井化学・武田薬品ウレタン事業統合事例(平成12年度事例9)では,商品の輸入のために必要な港湾地区のタンクについて,第三者からの希望があればそれに応じて提供するという問題解消措置が採られました。
(*3) 富士電機・三洋電機自販機株式取得事例(平成13年度事例9)では,当事会社の保有する特許権等の技術に関してライバル会社から実施許諾等の求めがあったときは,これを拒否せずに適正な条件にて応じることが問題解消措置として採られました。

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