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井垣太介 (Taisuke Igaki)

Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

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企業結合に関する独禁法問題をクリアする方法(その2)

続いて,「一定の取引分野」の一要素である「地理的範囲」の確定方法については,企業結合ガイドライン上は「供給者の事業地域,需要者の買い回る範囲等」「商品の特性」「輸送手段・費用等」の3点が考慮要素として挙げられていますが,「商品の特性」「輸送手段・費用等」は結局,顧客(需要者)がどの範囲の地域から当該商品を購入できるかに帰すると言えますので(例えば,商品が腐りやすいとか輸送費が高いということになれば,顧客は必然的に近くの店で買わざるを得ない),通常は,「供給者の事業地域と顧客の買い回り範囲」を重点的にチェックすればよいと思います。

例えば,小売業の場合は,通常,特定の地域の店舗間にしか需要代替が生じないことから,個別店舗ごとに地理的範囲が確定され(エディオン・ミドリ電化株式取得事例(*1)では,店舗から半径10km程度の範囲が基本とされた),卸売業の場合は,需要者である小売店(薬卸であれば,薬局・薬店等)が基本的には自己の店舗が所在する特定の地域内に配送拠点を構える卸売業者からの調達によっているという流通実態があると思われますので(もちろんケースごとの分析が必要),小売業よりは少し広く,都道府県ごと,および,配送拠点の所在地によっては,北海道・東北・関東・甲信越・東海・近畿・中国・四国・九州といった「ブロック」ごとに事業エリアが存在するという事実認定の下で,各都道府県と各ブロックが重畳的に「地理的範囲」になることが考えられます(*2)。

さて,「商品の範囲」と「地理的範囲」が決まれば,次は,市場シェアを利用して,HHIの計算に入ります。新企業結合ガイドラインでは,水平合併について

① 「統合後のHHI が1500以下」
② 「統合後のHHI が1500超2500以下で、HHI の増加が250以下」,または,
③ 「統合後のHHI が2500超で、HHI の増加が150以下」


であれば実質的な審査は行わないこととされています。また,公取委は,ガイドライン上,「上記の基準に該当しない場合であっても、直ちに競争を実質的に制限することとなるものではなく個々の事案ごとに判断されることとなるが,過去の事例に照らせば,企業結合後のHHIが2,500 以下であり,かつ,企業結合後の当事会社グループの市場シェアが35%以下の場合には,競争を実質的に制限することとなるおそれは小さいと通常考えられる。」としている。

メディセオ・パルタックとアルフレッサの合併事案で,仮に,どこかの地理的範囲における合併前の市場シェアが,メディセオ・パルタック30%,アルフレッサ20%としますと,統合後のHHIは2500で,統合によるHHIの増加は2500-1300=1200となります。よって,上記セーフハーバーのいずれも充たしません。また,企業結合後の当事会社グループの市場シェアが35%を超えることから,「競争を実質的に制限することとなるおそれは小さいと通常考えられる」ケースにも該当しないことになりますので,結局,本件は実質的審査に入ることになります。

次回のエントリーでは,実質的審査に入った場合に策定が必要となる問題解消措置の種類等について検討したいと思います。


(*1) 平成16年度事例6
(*2) 専ら一般用医薬品の卸売業が問題とされたメディセオ・パルタックによるコバショウの株式取得事例(平成19年度事例10)でも,同様に,都道府県とブロックごとに競争制限効果がチェックされました。

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