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Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

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企業結合に関する独禁法問題をクリアする方法(その1)

今年の4月1日(2009年4月1日)付けで合併を予定していた医薬品卸業界日本国内マーケットシェア1位のメディセオ・パルタックホールディングスと同2位のアルフレッサホールディングスが,合併を取り止めました。この合併は,成功すれば,医療用医薬品卸の分野では日本国内で約47%,地域によっては60%近くのマーケットシェアを占めることになっていました。

世界におけるM&Aの「公表後の中止・延期案件」は,2008年全体で1300件を超えており,日本国内案件でも,昨年は過去最高の「中止・延期案件」数だったようです。信用収縮で資金調達ができなかったり,対象企業のバリュエーションが困難になってあきらめたりしたケースが多いと思われますが,ときたま「独禁法問題がクリアできなかったため」と発表されることがあり,上記メディセオ・パルタックとアルフレッサの合併も新聞報道ではそのように書かれています。

すなわち,メディセオ・パルタックとアルフレッサからの事前相談において公取委は合併後の新会社グループに所属する事業の一部売却を求めたようですが,当事会社がこれを受け入れず破談になったとされています。そこで,今回のエントリーでは,企業結合においてどの程度のマーケットシェア等が問題視されるのか,また,当事会社のマーケットシェア等に関して公取委が問題があると指摘してきた案件を頓挫させずに実現させるためには,どのような問題解消措置を公取委に提案すればよいかについて見ていきたいと思います。

まず,企業結合は,「一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合」に禁止されますので,「商品の範囲」「地理的範囲」を分析して「一定の取引分野」を確定することが最初に行うべき作業となりますが,薬の卸売業においては,医療用医薬品,一般用医薬品,化粧品・日用品,健康食品,試薬,医療機器などが「商品の範囲」になると考えられます(*1)。

一般的に,「商品の範囲」は,商品の「機能・効用の同種性」をメインに,生産過程や流通経路も斟酌して決められますが,現在の実務においては比較的狭い範囲で画定されます。例えば,味の素・ヤマキ株式取得事例(公取委公表平成18年事例1)では,「商品の範囲」が「風味調味料」「液体風味調味料」「めん類等用つゆ」に区別され,さらに,それぞれにつき流通経路や販売単位の違いから「家庭用」と「業務用」に区別されました。「風味調味料」と「液体風味調味料」の違いは,後者の方が単位当たりのコストが高いという点,「風味調味料」と「めん類等用つゆ」の違いは,後者には醤油が添加されている点ですが,主にユーザーの視点からかなり細かく判断されていることが分かります。

以上より,薬卸業に関しては,医療用医薬品,一般用医薬品,化粧品・日用品,健康食品,試薬,医療機器などの個別の商品グループごとに,競争制限効果がどの程度発生するかを比較検討することになります。

続いて,「一定の取引分野」の確定の際には,「地理的範囲」についても考慮しなければなりませんが,ここから先は次のエントリーで書きたいと思います。


(*1) メディセオ・パルタックとアルフレッサの合併に関する2008年10月10日付け報道では,「公正取引委員会に申請中。医療用医薬品,一般用医薬品,試薬,医療機器,SPDなど全てのデータを提出して抵触しないことを説明している。」と書かれてありましたので,これらの商品グループごとに,独禁法違反がチェックされたと考えられます。

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