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井垣太介 (Taisuke Igaki)

Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

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表明保証条項を巡る紛争(アメリカのケース)

M&A契約には、通常、表明保証条項(*1)が入りますが、最近(2008年1月29日)、アメリカ連邦裁判所第8巡回控訴審は、Eckert v. Titan Tire Corp.事件(*2)において一つの判断を示しました。このケースでは、買主であるTitanが売主であるPirelliから従業員に対する退職金給付義務を承継したのですが、この退職金の計算に関してPirelliがTitanに提出したデータが間違っていたのです。本件の契約(資産譲渡契約でした)には、「PirelliはTitanに対して、承継した退職金給付義務を履行するに足りる資産を譲渡しなければならない」という義務が定められていたほか、「PirelliはTitanに退職金給付義務に関し正確な評価(correct actuarial valuations)を提供した」ことをPirelliが表明保証する条項が付けられていました。そして、本契約においては、この表明保証条項は1年で違反主張ができなくなるとされていましたが、前者の「PirelliはTitanに対して、退職金給付義務を履行するに足りる資産を譲渡しなければならない」という義務についてはこの期間制限は存在しませんでした。裁判で、Pirelliは1年の期間制限が過ぎていることを主張し、Titanは「Pirelliは承継した退職金給付義務を履行するに足りる資産を譲渡しなかった」と主張しましたが、裁判所は、「結局のところ、本件の計算間違いは表明保証条項違反である」として、Titanからの請求を棄却しました。

本件は事実認定に係る部分が大きく、先例としての重要性は高くないものと考えますが、実務家としては、(日本・海外に関係なく)「何が表明保証の枠の中に入ってくるか」「表明保証の枠の中に入るのと入らないのとで、どのような効果の違いが発生するか」という問題を常に意識しなければならないということを再認識させられるケースでした。日本の場合、表明保証条項に関する紛争が裁判にまで発展することは未だ多くはありませんが、いくつか出てきていますので、次回のコラムで紹介したいと思います。

(*1) M&A契約では、相手方の資産・負債・法的問題・会計的問題等について事前調査(Due Diligence)を行った上で、表明保証(Representations & Warranties)条項を設け、売主と買主が相互に相手方に対して事実を表示(Representation)し、かつ真実であることを表明者自身が保証(Warranty)することによって、その事実に違反した場合に相手方が被った損害を補償することが行われています。
(*2) Eckert v. Titan Tire Corp., 8th Cir., No. 07-1092

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