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井垣太介 (Taisuke Igaki)

Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
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MBOに関する論点整理①~総論~

レックス事件の東京高裁決定が先日(平成20年9月12日付け)出ました。また、最近の新聞に、MBO(*1)後の経営が予想よりも上手く行っていない会社が多いという記事が載っていましたので、今回からはしばらくMBO(従業員も新経営陣や出資者に加わるMEBOも含む)について扱ってみたいと思います。

そもそもMBOは、「市場における短期的圧力を回避した長期的思考に基づく経営の実現」などを企図して行われると一般的には言われます。しかし、実際にはそれほど甘くはありません。現経営陣や従業員が全額出資できるケースはまず存在しませんので、必ずスポンサーが入ってスポンサーとの間で株主間契約を締結することになり、経営の自由度はその中で制限されることになります。また、現在市場に出回っている株式を買い取る資金を借入れるために締結する金銭消費貸借契約の中には厳しい財務コベナンツ条項が入れられ、上場廃止後にもそこで課された利益目標に到達できるよう相当頑張らなければなりません。新会社は多額の借金を抱えてスタートすることになりますから、借入れ利息の支払い義務も相当な重荷になります。そもそもスポンサーは、再上場等によって投下資本の回収を図ることをゴールに設定していますので、結局は、お目付け役が従前の不特定多数の株主から特定の金融投資家に変わっただけで、しかも再上場の予定日が3年後といった比較的近いところに設定されるため(*2)、余計に「長期的思考に基づく経営の実現」が難しくなるという問題点もあるわけです。

MBOには従前から言われている「情報の非対称性から来る株主の不利益」の問題や「経営陣と会社(株主)との利益相反」の問題など、主に株主保護の観点から出てくる多くの問題点があるわけですが、経営陣としては、それ以前に、上で述べたようなMBOのデメリットを認識した上でなおメリットの方が大きいのかどうかを精査しなければなりません。

さて、MBOがベストな選択肢であると経営陣が判断した場合でも、構造的に存在する利益相反問題を解決するためにクリアしなければならないハードルがあります。この利益相反問題について正面から取り扱い一定の方針を示唆しているのが、平成19年9月4日に経産省が発表した<「企業価値の向上及び公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する指針」>(以下、「MBO指針」)ですが、現時点でも最新の指針ですので、この機会におさらいをしておきたいと思います。

MBO指針は、MBO を行う上で対象会社が尊重すべき原則として、以下の二つの原則を挙げています。

【第1原則】 企業価値の向上(望ましいMBO か否かは、企業価値を向上させるか否かを基準に判断されるべきである)
【第2原則】 公正な手続を通じた株主利益への配慮(MBO は取締役と株主との間の取引であるため、株主にとって公正な手続を通じて行われ、株主が受けるべき利益が損なわれることのないように配慮されるべきである)

もちろんこれだけでは会社が具体的に何をすべきかが明確ではありませんので、MBO指針は具体的な方策を例示列挙しています。これについては次回以降のコラムで順に説明していきたいと思います。


(*1) MBOとは、「現在の経営者が資金を出資し、事業の継続を前提として対象会社の株式を購入すること」と定義されています(企業価値報告書2006)。
(*2) 東証の<「新規上場の手引き」>では、非上場から再上場申請日の直前の事業年度の末日までの期間が「3か年以上」必要とされています。

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