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井垣太介 (Taisuke Igaki)

Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

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会社分割に関する論点②~移転事業の範囲~

2 会社分割の対象

続いて、「分割する対象(資産や負債)は自由に決めてもよいのか」という質問について検討したいと思います。

旧商法時代における会社分割の対象は「営業の全部または一部」でした。ここで言う「営業」とは、営業譲渡の場合の「営業」に関する判例の表現と同じく、「一定の営業目的のために組織化され、有機的一体として機能する財産」を意味するとされ、ただ、営業譲渡の場合には要求される「営業譲渡の結果、譲渡会社が競業避止義務を負う結果を伴うもの」という要件については、会社分割の場合には不要ではないかという見解が有力であったように思います。

しかし、そもそも「有機的一体性」という概念はあまり明確ではなく、かつ、競業避止義務を負わない場合でも当事会社がともに株主総会の承認などの組織法上の手続を経て行った以上、当該会社分割を無効とする理由はないように思います。

そこで、(厳密には、依然、競業避止義務要件は残っているとする見解もありますが)会社法では、会社分割の対象における「営業」という概念を緩和し、「その事業に関して有する権利義務の全部又は一部」(会社法2条29号、30号)を会社分割の対象にできることにしました。ただ、事業との関連性をどこまで要求するかについては固まった見解がありません。例えば、オートバイメーカーが会社分割によってオートバイ製造事業を切り出そうとしているときに、工場とは全く別の場所にある不動産を一緒に承継させることは可能でしょうか?・・・この場合、「その不動産を売却した資金をオートバイ製造事業に充てる」と言えば「事業」との関連性があるとも思えますし、そもそもオートバイ製造事業とは関連がなかったのだから承継不可と考える人もいるでしょう。

私自身は、会社分割の対象を拡大した今回の会社法改正の趣旨を踏まえると、事業との関連性については相当緩やかに解してよいと考えています。おそらくはそれが実務における当事会社の希望とも一致するところでしょう。ただ、本来、「財産を他の会社に移転して株式の発行を受ける」という行為は現物出資に該当し検査役の調査を受けなければならないところを、要件を緩和して事業の移転を行い易くしたのが会社分割ですから、現物出資規制の潜脱であるとの批判を受けないようにしなければなりません。よって、事業との間接的関連性すら存在しない資産や負債を寄せ集めて他の会社に移転する行為をもって会社分割であると呼ぶことはできないと言うべきでしょう。

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