プロフィール

Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

ブログ全記事表示

最近の記事

カテゴリー

FC2カウンター

最近のコメント

月別アーカイブ

ブログ内検索

リンク

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

米国独占禁止法(ハート・スコット・ロディノ法)の改正について

米国FTC(*1)は、最近(2008年1月18日)、いわゆるHSR法(*2)の合併前事前届出基準(Premerger Notification Thresholds)を変更しました(*3)。独禁法というのは、他社を買収して事業を拡大していくM&Aとは切っても切り離せない関係にあり、とりわけ海外でも営業を展開している企業の場合、その営業地である外国の独禁法にも常に気を配らなければなりません。また、主要先進国の独禁法は、その国のマーケットや競争政策に影響がある場合は域外適用ができるという規定になっていますので、海外の独禁法について知っておくことは有用です。

米国独禁法のうちM&Aと重要な関わりを持ってくるのが、規制基準を定めるクレイトン法7条(*4)と手続法であるHSR法です。そのほか、水平合併に関する実務的に重要なガイドラインがあり、1992 Horizontal Merger Guidelineと呼ばれています。クレイトン法とこのガイドラインについては別コラムで紹介したいと思います。

さて、HSR法は、一定の要件を満たす資産取得と議決権付株式の取得に適用されるところ、HSR法が適用されるM&A取引を行う当事者はFTCと司法省に対して事前通知を行い、「実質的に競争を減殺し、または、独占を発生させる蓋然性があるかどうか」に関する審査を受けなければなりません。では、いかなる取引がHSR法の規制対象になるかですが、この点については、「取引規模」要件(Size of Transaction)「当事者規模」要件(Size of Person)の2点に注目する必要があります。改正の前と後を比べてみたいと思います。

【改正前】
1.「取引規模」要件
(1) 5,000万ドル以下の資産/株式取得 ⇒ 届出不要
(2) 5,000万ドルから2億ドルまでの資産/株式取得 ⇒ 「当事者規模」要件が満たされると届出義務発生
(3) 2億ドル超の資産/株式取得 ⇒ 常に届出が必要
(4) 評価額にして10億ドル超の株式を25%以上取得 ⇒ 常に届出が必要

2.「当事者規模」要件
「取引の一方当事者が1億ドル以上の資産または売上を有し、かつ、他方当事者が1,000万ドル以上の資産または売上を有すること」

【改正後】
1.「取引規模」要件
(1) 6,310万ドル以下の資産/株式取得 ⇒ 届出不要
(2) 6,310万ドルから2億5230万ドルまでの資産/株式取得 ⇒ 「当事者規模」要件が満たされると届出義務発生
(3) 2億5230万ドル超の資産/株式取得 ⇒ 常に届出が必要
(4) 評価額にして12億6150万ドル超の株式を25%以上取得 ⇒ 常に届出が必要

2.「当事者規模」要件
「取引の一方当事者が1億2620万ドル以上の資産または売上を有し、かつ、他方当事者が1,260万ドル以上の資産または売上を有すること」

・・・一見複雑な構造になっていますが、「取引規模」要件から順番に当てはめていけば、届出義務の存否が分かると思います。実際には、更に詳細なルールが存在しますので、実際に案件を進めていく際には独禁法専門弁護士のサポートが必要になってくると思われます。また、HSR法は、上記基準はGNPをベースにして毎年見直されるべきものと定めていますので(新基準の数字が中途半端なものになっているのはそのため)、今後も毎年注意が必要です。

(*1) Federal Trade Commission(連邦取引委員会)。日本の公正取引委員会に該当。
(*2) Hart-Scott-Rodino Antitrust Improvements Act of 1976
(*3) 新しいHSR Actは2008年2月18日以降にクロージングを迎えるM&A取引から適用されます。
(*4) Clayton Act(15 U.S.C. §12~)

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://taiigaki.blog62.fc2.com/tb.php/15-aea41a7d

 ホーム 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。