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井垣太介 (Taisuke Igaki)

Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
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M&Aのスケジューリング(その1)~会社法上の手続~

旧商法時代の組織再編行為に関するスケジュールは、「株主総会承認決議の日」が基準となっており、手続を完了させるためには、最短でも、承認決議前の2週間(招集通知送付および事前開示書類の備置期間)、プラス、承認決議後の1ヵ月(株式買取請求権の行使期間20日間および債権者からの異議申述期間1ヵ月間)の合計1ヵ月半が必要でした。ところが、これでは機動的で迅速な組織再編行為に支障が出るということで、会社法においては、「組織再編行為の効力発生日」(*1)が基準とされ、その日までに、株主総会の承認決議、株式買取請求権関連の手続、債権者保護手続が完了していれば足りるという定め方に変わりました。つまり、これらの手続の先後関係がなくなり、同時並行で進めることが可能になっています。

具体的には、

① 株主総会承認決議
組織再編行為の効力発生日の前日までに決議が取得できれば良い(会社法783条1項、795条1項)。

② 株式買取請求権
会社法が議決権制限株主にも株式買取請求権を与えたこととも関連していますが、株主総会がいつ開催されるかに関係なく、組織再編行為の効力発生日の20日前までに(*2)、全株主に対して通知・公告を行なわなければなりません(会社法785条3項4項、797条3項4項)。その結果、株主は、効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日まで(*3)、株式買取請求権を行使することができます(会社法785条5項、787条5項、797条5項)。

③ 債権者保護手続
債権者保護手続においては、債権者による異議申述期間を1ヵ月以上定めなければなりません。よって、組織再編の効力発生日の前日までには債権者保護手続が完了しているように、効力発生日から逆算して債権者への公告・催告日を決定する必要があります。

なお、事前開示書類については、
ア 株主総会開催日の2週間前の日
イ 株主への通知または公告の日
ウ 債権者への公告または催告の日

のうち、最も早く到来する日から備置を開始しなければならないとされています。

以上が会社法上の手続ですが、今までに述べてきたように、状況によっては独禁法上の事前相談・事前届出、外為法上の対内直接投資として事前届出、株主が居住する外国の証券取引委員会等への届出、適格組織再編への該当性に関する国税庁への事前照会などが必要になり、その場合は提出を求められる資料の準備等に数ヶ月から半年近くかかることもありますので、更に入念なスケジューリングが必要になってきます。

次回のコラムでは、合併などのケースにおけるスケジューリングについて具体的にシミュレーションしてみたいと思います。


(*1) 従来は、組織再編行為の「登記日」が当該組織再編行為の「効力発生日」でしたが、会社法は「当事者間が契約書に効力発生日として記載した任意の日」をもって当該組織再編行為の「効力発生日」にすることを認めていますので、当事者間で協議をしてスケジュールを柔軟に作っていくことが可能になりました。ただし、新設合併、新設分割、株式移転では、旧法時代と同様、組織再編行為の「登記日」が当該組織再編行為の「効力発生日」ですので、効力発生日を事前に特定することができない場合もありえます。
(*2) 新設型組織再編の場合は、株主総会決議日から2週間以内に(会社法806条3項4項)。
(*3) 新設型組織再編の場合は、通知・公告日から20日以内(会社法806条5項、808条5項)。

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