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Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

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大量保有報告制度について

今年(2008年)の1月に、金融庁が運営するEDINETに、トヨタ自動車、NTT、ソニー、フジテレビジョンといった大企業の「発行済株式の51%を取得した」とする虚偽の大量保有報告書が掲載され問題となりましたが、今回は、近年の証取法改正によって見直しが行なわれた大量保有報告制度について簡単に見ておきたいと思います。

上場会社の株券等について、新たに発行済株式総数の5%超を取得した場合には、大量保有報告書の提出が必要となります(金商法第27条の23第1項)。報告書の対象となる株券等には、株券、新株予約権証券、新株予約権付社債券、対象有価証券カバードワラント、株券預託証券、株券関連預託証券、対象有価証券償還社債、投資証券等、株券信託受益証券、株券関連信託受益証券が含まれ、5%超か否かの計算は、「自己保有分の株式数及び潜在株式数(*1)」に「共同保有者分の株式数および潜在株式数」を加えた数を、「発行済株式総数」と「自己および共同保有者の保有分の潜在株式数」の合計の数で割って求めます(法第27条の23第4項)。

ここで、「共同保有者」とは、以下の①、②を指します。

① 実質共同保有者(法第27条の23第5項)
 ⇒ 共同して株券等を取得し、譲渡し、又は議決権その他の権利の行使等を行うことを合意している者。
② みなし共同保有者(法第27条の23第6項、施行令第14条の7)
 ⇒ 以下の関係にある場合(*2)。
  ・ 夫婦
  ・ 支配株主(50%超の議決権を有している者)と被支配会社の関係
  ・ 支配株主を同じくする被支配会社同士の関係
  ・ 財務諸表等規則第8条第3項に規定する子会社と親会社の関係
  ・ その他(施行令第14条の7参照)

また、大量保有報告書の提出後、株券等保有割合が1%以上増減した場合その他大量保有報告書に記載すべき重要な事項の変更として政令で定めるものに関しては、変更報告書の提出が必要となります(法第27条の25第1項、施行令第14条の7の2)。

報告書はいずれも、EDINETを使用して提出しなければなりません(平成19年4月1日以降義務化)。提出期限は、報告義務発生日の翌日から起算して土日祝日を除き5日以内で、提出先は、提出者の住所又は居所(法人については本店所在地)を管轄する財務(支)局です(*3)。

ところで、機関投資家(金融商品取引業者、銀行、信託会社等)には、特例報告制度といって、一定の要件を充たせば、基準日(下記組合せのうちいずれかを選択)時点における報告を行うことが認められています(法第27条の26、施行令第14条の8の2第2項)。

・ 各月の第2月曜日及び第4月曜日(第5月曜日がある場合には、第2、第4及び第5月曜日)
・ 各月の15日及び末日(土日に当たるときは直前の金曜日)

これはもともと「3ヵ月毎に到来する基準日から15日以内に報告」とされていた特例報告の頻度・報告期限が、投資家に対する一層透明で迅速な情報開示が必要だという価値判断の下で、より頻繁かつ迅速に報告(2週間毎に到来する基準日から5営業日以内に報告)するように改正されたものです。機関投資家の運用行動についてはオープンにしすぎることによって投機筋に追随されたりしますので、これ以上頻繁な報告は難しいかも知れませんが、機関投資家が会社を支配する目的で大量保有を行なう場合には、別途考慮が必要です。かかる場合には対象会社および投資家に対する迅速な情報開示が必要であると言えますので、金商法は、「株券等の発行者の事業活動に重大な変更を加え、又は重大な影響を及ぼす行為として政令で定めるもの(重要提案行為など)を行なう場合」には、上記「特例報告」ではなく「一般報告」を行なうことを義務づけています。

更に、大量保有している機関投資家が株式を短期間に大量に手放すと、他の株主や投資家に少なくない影響を与えます。しかし、旧法においてはその手当てがなされていませんでした。よって、法改正によって、現時点で10%超保有している機関投資家が10%を下回る取引を行なった場合には、「特例報告」を認めず、5営業日以内の「一般報告」が義務づけられました。

最後に、大量保有報告書や変更報告書などを提出した場合には、遅滞なく、報告書の写しを当該株券等の発行者に対して送付しなければなりません。


(*1) 潜在株式数とは、新株予約権証券等の権利行使によって取得できる株式の数を言います(府令第5条)。
(*2) ただし、内国法人の発行する株券等の場合、単体株券等保有割合が1000分の1以下である場合には、みなし共同保有者から除外されます(府令第6条)。
(*3) 非居住者については関東財務局に提出。

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