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Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
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公開買付制度の概要(その1)

有価証券報告書の提出が義務付けられている株式会社の株券を市場外で一定数以上買付ける場合などには、原則として公開買付けによらなければならないとされています(金融商品取引法27条の2第1項)。ここで、公開買付けとは、株券発行会社または第三者が、不特定かつ多数の人に対して、公告等により買付期間・買付数量・買付価格等を提示し、株券等の買付けの申込みを行い、市場外で株券等の買付けを行なうことを言います。この公開買付け制度については改めて紹介するまでもないかも知れませんが、M&A情報ブログとしての性格上、一度、金商法施行後の公開買付制度がどのようになっているかについて整理しておきたいと思います。

公開買付制度は、もともと、会社の支配権に影響を及ぼすような買付けが行われる場合には、株主に十分な情報提供を行い、かつ、株主に株券売却の機会を平等に与える必要があるということで昭和46年(1971年)に設置された制度です(*1)。その後、平成2年、平成6年などの改正を経て、今回の「証券取引法等の一部を改正する法律」の中で、以下の諸点について見直しがなされました。

1. 脱法的取引への対応
2. 株主への情報提供の充実
3. 買収防衛策とのバランス調整
4. 全部買付義務の導入
5. 買付者が競合する場合の処理


以下、順に説明していきますが、まず、前提として、どのような場合に公開買付けが必要となるかについてざっと見ておきたいと思います。金融商品取引法27条の2第1項は、以下の事由に該当する場合に公開買付けによることを強制しています。

事  由
条文
5%基準
60日間で11名以上の者から、取引所市場外で買付け等をおこない、その後の株券所有割合が5を超える場合
1
3分の1ルール
60日間で10名以内の者から、取引所市場外で買付け等をおこない、その後の株券所有割合が3分の1を超える場合
2
取引所市場内の取引のうち競売買以外の方法(「特定売買等」)により買付け等を行い、その後の株券所有割合が3分の1を超える場合
3
取引所市場内外の取引を組み合わせた取引のうち、3か月以内に行なわれた買付け等による株券取得割合が合計10%を超え、かつ、これらのうちに5%超の市場外買付けが含まれ、その後の株券所有割合が3分の1を超える場合
4
他者のTOB期間中の大株主による買増し
3分の1超を既に保有する株主は、他者がTOBを行っている期間中に5%超の買付けを行う場合には、対抗TOBによらなければならない
5
その他
その他政令で定める場合(買付者の特別関係者による買付け等)
6

このうち、1号・2号・6号は旧法下における規制内容と同じですが、3号は、平成17年の改正で追加され、4号・5号は平成18年改正で追加されました。

そもそも、証券取引所の市場内で買付けが行われる場合には、公開買付けによる必要はありません。その趣旨は、証券市場内での取引は、取引の数量や価格が公表されており、透明性が確保されていますし、取引が競争売買によって行われるため、公開買付けを強制しなくとも、投資者は公正・平等に扱われるからです。

続いて、買付け後の株券等所有割合が5%以下である場合にも、公開買付けによる必要はありません。これは、買い付ける株券等の割合が少なく会社の支配への影響が少ないからです。ここで、5%というのは買付者本人のみではなく、「特別関係者の分と合わせて5%」を超えるかどうかが判断されます(*2)。

最後に、60日間で10名以下の者からする買付けのうち、買付け後の株券等所有割合が3分の1以下である場合にも、公開買付けによる必要はありません。これは、少数の者からの買付けなので、支配権が移動する場合を除けば、情報を開示させたり、広く株主に買付けの機会を与えたりする必要がないと考えられるからです。以上が基本的な枠組みですが、詳細は次回以降のコラムで書きたいと思います。


(*1) アメリカでは、1966年にウイリアムス法によって1934年取引所法が改正され、公開買付制度が導入されました。
(*2) 「特別関係者」とは、
公開買付者が個人の場合は、①その者の親族(配偶者および1親等内の血族または姻族)、②その者(その者の親族を含む)が法人等に対して総株主の議決権の20%以上の議決権に係る株式または出資を自己または他人の名義をもって所有する関係(特別資本関係)にある場合の当該法人等およびその法人等の役員を、
公開買付者が法人の場合は、①その者の役員、②その者が特別資本関係を有する法人等およびその法人等の役員、③その者に対して特別資本関係を有する個人および法人等ならびにその法人等の役員
を指しますが(以上は、「形式的基準」と呼ばれています)、これ以外に、公開買付者との間で共同して株券を取得・譲渡したり、議決権を行使することについて合意した者(これは、「実質的基準」と呼ばれます)も含まれます。

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