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井垣太介 (Taisuke Igaki)

Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

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新しくなった「関連当事者の開示」規制について(その2)

2.「関連当事者との取引」の範囲

開示の対象となる「関連当事者との取引」とは、以下のものを言うとされています。

① 報告会社と関連当事者との取引(*1)
② 関連当事者が第三者のために報告会社との間で行う取引
③ 報告会社と第三者との間の取引で、関連当事者が当該取引に関して報告会社に重要な影響を及ぼすもの


したがって、例えば、報告会社A社の社外監査役が他の会社B社の代表取締役でもある場合にA社とB社との間で取引を行なえば、上記②に該当することになります。
また、今回の新基準は、国際的会計基準に倣って、「財務諸表提出会社の連結子会社と関連当事者との取引」を新たに開示対象としました。もともと、純粋持株会社が増えたことに伴って、従前は開示対象ではなかった「連結子会社と関連会社との取引」を開示すべきであるという声が強まっていたのですが、今回は、実質的に事業を営んでいる連結子会社や関連会社間の取引が公正に行なわれているかどうかをチェックできるよう、それらを開示対象に盛り込んだというわけです。

なお、「連結財務諸表を作成するにあたって相殺消去した取引」は開示対象とならないとされているほか、(連結会社が関与しない)「関連当事者同士の取引」も開示対象外になっています。この点を見る限りでは、本会計基準の趣旨は、あくまでも財務諸表を正しく理解するための措置を定めたに留まり、親子会社や関係会社間の取引の公正性を確保することまでは目的としていないものと考えられます。

さて、上記の取引のうち開示対象となるのは「重要な」取引に限られますが、その「重要性」の判断に関し、まずは、以下の3点を確認しておきたいと思います。

① 関連当事者との無償取引や低廉な価格での取引における「重要性」の判断は、実際の取引価格ではなく、第三者間取引であったと仮定して金額を見積もることによる。
② 形式的・名目的に第三者を経由した取引といえども、実質的な相手方が関連当事者であることが明らかである場合には、開示対象となる「取引」に該当しうる。
③ 関連当事者との取引のうち、以下の取引は開示対象外。
ア 取引の性質からみて取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引(*2)
イ 役員に対する報酬、賞与及び退職慰労金の支払い


上記のうち役員に対する報酬等については、「コーポレート・ガバナンスの状況」の部分で開示されることからここでは開示対象外とされていますが、その観点からは、株主総会決議を経ることなく支給されている福利厚生費用等については開示対象になります(従業員としての地位に基づいて支給されているものを除く)。

続いて、「重要性」の判断基準については細かいため詳細は省略しますが、損益計算書ベースでは、概ね売上高等の10%超または金額ベースで1000万円超が基準に、貸借対照表ベースでは、総資産の1%が基準とされています(*3)。


(*1) 対価の有無にかかわらず、資源若しくは債務の移転、又は役務の提供を言います。
(*2) 一般競争入札による取引、預金利息や配当の受取りなど。
(*3) これは関連当事者が法人の場合であり、関連当事者が個人の場合には、損益計算書項目と貸借対照表項目の両方において1000万円超の取引であることが基準とされています。これは、従来、役員等の個人の関連当事者との取引については100万円を超える取引が開示対象にされていたところ、12万ドル超の取引を開示対象とする米国のRegulation S-Kを参考に、1000万円に引き上げられたものです。

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