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井垣太介 (Taisuke Igaki)

Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
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証券(金融商品)取引所規則に基づく適時開示(その2)

前回のコラムで、適時開示規則によるディスクロージャーの概要を確認しましたので、規制内容をもう少し掘り下げて見ておきたいと思います。

まず、証券取引所の規則に基づく開示項目は、金商法に基づく法令上の開示項目とはかなりの部分において重なっていますが、完全に一致しているわけではありません。金商法については、<企業内容等の開示に関する内閣府令>が具体的な開示項目を定めていますが(臨時報告書の提出が必要な項目については第19条が規定。なお、同内閣府令は2008年5月に改正され、英文開示の対象有価証券および対象書類が拡大されています。)、例えば、公開買付けに関しては、内閣府令に基づけば、公開買付けを行う側は、19条2項3号の「提出会社の特定子会社の異動があった場合」に該当するとして、また、公開買付けの対象会社側は、19条2項4号の「提出会社の主要株主の異動があった場合」に該当するとして、それぞれ臨時報告書を提出することになりますが、これは、公開買付け後の事後報告に過ぎません(*1)。対して、例えば、東証の適時開示規則(*2)で行きますと、公開買付けの場合は、

① 公開買付け開始
② 公開買付けの結果
③ 対象者からの意見表明報告書による質問に対する回答
④ 公開買付けに関する意見表明等


に関して開示義務が発生します。また、公開買付け者が上場会社である場合に限らず、上場会社の子会社が公開買付けを行う場合(東証適時開示規則2条2項1号n)や、上場会社の非上場の親会社が公開買付けを行う場合(東証適時開示規則2条2項2号w)にも開示義務が発生しますので、証券取引所が求めている開示義務の方が、金商法上の開示義務よりも網羅的かつ広範であると言えます。

また、<金商法24条の5第4項>は、内閣府令で定めるところにより、臨時報告書を「遅滞なく」内閣総理大臣に提出しなければならないとしていますが、東証の適時開示規則は、会社の業務執行を決定する機関が決議又は決定した場合、「直ちに」開示しなければならないとしていますので、緊急度合いで言えば、東証の適時開示規則の方が「上」です。実務上は、夜間に決定がなされるケースや開示資料の作成に時間を要するケースもあると思いますが、臨時報告書の提出は翌日になったとしても、TDnetを通じた適時開示は必ず「その日のうち」に行なわなければなりません(翌日に持ち越すと、証券取引所から、開示遅延を理由に不適正開示と認定されます)。

また、上場会社が公開買付けの中止・変更を決定した場合、「開示事項の中止・変更」ということで開示が必要になりますし、開示事項について訂正が必要な場合には「開示事項の訂正」として開示が必要です。更に、最初は決定していなかった点が後に確定した場合には、「開示事項の経過」として追加開示を行なわなければなりません。このように、適時開示規則に基づくディスクロージャーは、法令に基づく開示義務よりも詳細、広範で、かつ迅速性が求められますので、開示事項を決定する当日(公開買付けの結果の報告は、公開買付期間末日の翌日)に開示ができるよう、事前の準備が大切になってきます。


(*1) 日本たばこ産業株式会社が株式会社加ト吉の普通株式に対する公開買付けを行った際の臨時報告書をサンプルとして挙げておきます。
・ JT提出分: http://www.jti.co.jp/JTI/IR/08/rinji20080108.pdf(特定子会社の増加)
・ 加ト吉提出分: http://www.katokichi.co.jp/ir/pdf/Pr530108.pdf(主要株主の異動)
(*2) <有価証券上場規程>の402条以降、および、<上場有価証券の発行者の会社情報の適時開示等に関する規則>

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