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Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

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米国におけるM&A契約条項の分析(その8)

16.独禁法上の問題対応に関するコベナンツ条項

バイアウト契約には、米国の独占禁止法であるハート・スコット・ロディノ法(Hart-Scott-Rodino Antitrust Improvements Act of 1976)に関するコベナンツ条項を入れることもあります(詳細は、<M&Aにおけるリスク・アロケーション~Antitrust Riskを題材に~(その2)>ご参照)。

ここでは、独禁法上の問題について当事者がそれぞれどこまで責任を負うのかを定めるわけですが、近年の例では、当局とのやり取りなどによって発生する費用は買主負担とするか、当事者双方で折半とすることが多く、また、事業の分割といったインパクトの大きな是正措置にも対応する義務を負うと明示的に規定するパターンと、そのような義務までは負わない(すなわち、契約を解除できる)と定めるパターンが半々くらいで見られるようです。

17.Sandbagging条項
ポーカーで、良いカードを持っているのにそれを伏せておいて、とりあえず相手に賭けさせて大きく勝つやり方をSandbaggingと言いますが、バイアウト案件でも、例えば、買主側が、売主側が表明保証条項に違反している事実を知りながら契約し、その後、表明保証条項違反を理由に補償を求めていくケースがあり、この場合になお買主側に補償請求権を認める条項のことをSandbagging条項と呼びます。とぼけた振りをして稼ぐという意味で、両者には共通のイメージがあります。

さて、Sandbaggingは道義上は褒められたことではないかも知れませんが、M&Aにおいては、「買主側が実際にその事実を知っていたか否か」というのはときに認定困難な場合があります。そこで、近年のM&A実務においては、「買主側が売主側の表明保証条項違反やコベナンツ違反を知っていても補償の権利は依然認められる」と明記しておくケースの方が、Sandbaggingを契約上否定しておくケースよりも多く見られます。買主の主観に立ち入らずに補償義務の有無が決せられますので、ファンドが絡むバイアウト案件では好まれているようです。もっと多く見受けられるのが、契約書においてSandbaggingを認めるか否かを一切決めておかないケースですが、後日の紛争回避のためにはいずれかの立場を採ることをはっきりさせておいた方が良いと言えるでしょう。

18.買主側の表明保証条項 - Financing Representation

バイアウト案件では、買主側はお金を払って事業を買い取る側ですので、買主側から売主側に対して表明保証する事項はさほど多くはないのですが、近年の実務では、この「お金を払う能力がある」ということに関し、買主側が表明保証をするケースが非常に増えています。売主側としては、買主側が本当に買収資金を調達してこれるのか、また、具体的にどうやって買収資金を調達するのかが気になるところですので、契約上も、買収資金の調達方法まで記載して表明保証をするのが一般的です。これによって、売主側は、後に買主側が「資金を調達できなかった」と言ってきた場合に、発生した損失について補償を求めていくことができます。

以上で、「米国におけるM&A契約条項の分析」シリーズは一旦終わりにしますが、また、新たな条項が登場したり傾向が変わってきた場合には、アップデートしたいと思います。

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