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Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

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米国におけるM&A契約条項の分析(その2)

3.補償条項(Indemnity Clause)におけるCarve-Outs(例外的取扱い事由)

補償金額にはCapを設けるのが一般的だと前回のコラムで書きましたが、いかなる事由に基づく損失もCapによってその補償が一定範囲に限られるとすると、買主側が不測の損害を被ることがあります。そこで、特定の事由に基づく損失については限度なく補償されると当事者間で合意しておくことが一般的です。よく見られるケースは、基本的な表明保証条項違反(表明保証の対象は様々ですが、インパクトの大きい事柄については、違反時の損失を上限なく補償してもらわなければ安心して取引ができないため)、後日発覚した未納・滞納税、環境問題、契約締結後クロージングまでの約束事項(コベナンツ)違反などです。当事者としては、契約締結交渉時に、損失が甚大になるおそれのある問題をピックアップしてCapの対象外とするよう交渉を進める必要があります。

4.補償条項(Indemnity Clause)におけるBasket(バスケット)条項

細かい問題、僅かな損失が発生する度に補償の対象とするのは実務上煩雑ですので、M&A契約においては、「一定限度額を超えて初めて補償の対象とする」旨合意することが一般的です。これをバスケット条項と言いますが、バスケット条項には以下の二種類が存在します。

① 一定金額を超えて初めて補償条項が適用されるが、その場合には、一定金額を超える部分のみ補償されるとするもの
② 一定金額を超えて初めて補償条項が適用されるが、その場合には、損失の全額が補償されるとするもの


実務上はほとんどが①のパターンであり、また、基準となる金額については、買収対価の1%弱が多いようです。

5.補償条項(Indemnity Clause)におけるSurvival(存続)期間

補償条項は通常、一定の期間を過ぎれば失効します。これは、特に売主側を長期間不安定な地位に置くことは適当ではないと考えられること、および、何か問題が発生するのであればクロージング後せいぜい2年程度で判明するであろうという経験則に基づきます。ただし、実務上、この存続期間が設定されない契約も見かけますので、当事者の交渉次第とも言えます。
存続期間として最もよく見られるのが12ヶ月から18ヶ月程度だと思われますが、1年未満や2年とするケースもあります。売主側がバイアウト後に解散するようなケースでは短い期間を設定せざるを得ないものと思われます。

なお、この存続期間についても、Carve-Outs(例外的取扱い事由)を設定するケースが少なくありません。例外とされる事由は、やはり未納税金(*1)、環境問題、基本的表明保証条項違反(そもそも契約締結の権限が存在しなかったケースや、重要な資産の所有権を売主が有していなかったケース等)などであり、この場合、無期限に補償対象となるとするパターン、長めの期間を設定するパターン、法律上の時効が成立するまでとするパターンに分けられます。


(*1) 細かくなりますが、予測していなかった税支払いが発生した場合には、Tax Benefits(還付税等)との相殺を認める条項にするケースが見受けられます。また、税の問題とは関係ありませんが、例えば、重要資産が消失したことによって保険金が支給されるケースでは、損失額から保険金額を控除した残額についてのみ補償の対象とするパターンが多いようです。

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