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Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
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買収価格の算出方法(その1)~DCF法の基礎(1)~

M&A交渉の過程で当事者双方が最も関心を持つのが買収価格です。公開企業を買収する場合は、その時点での市場株価に発行済株式総数を掛けて算出した金額(market capitalization)を用いれば良いようにも見えますが、買収者は対象企業の支配権を獲得することになりますので、いわゆる支配プレミアム(control premium)を加算して初めて適正な買収価格になると考えられており、その評価も簡単ではありません。

そこで、企業価値や株価を算定する手法としては、これまでに、市場価格を参考にする方法、対象会社の資産を基準にする方法、利益から逆算する方法、他社や他の事例を参考にする方法など様々な計算方法が提案されてきましたが、現時点の(日米の)M&A実務界で最も頻繁に用いられている方法がDCF法(Discounted Cash Flow Methodology)です。そこで、今回はDCF法の基本的考え方について見てみたいと思います。

DCF法とは、「将来の予想キャッシュフローに基づき、企業の現在価値を算定する手法」と定義されます。具体的には、予想フリー・キャッシュフローを、対象会社のWACC(加重平均資本コスト)で割り引くことによって現在価値を求めます。そこで、ここでのポイントは、「予想フリー・キャッシュフロー」の出し方と、「WACC(ワック)」の求め方の二点になります。

1. 予想フリー・キャッシュフローの求め方

予想フリー・キャッシュフローは、会社が稼いだお金から会社の活動資金を差し引いた余剰資金を意味しますが、具体的には、

「営業利益(operating profit)(*1)、減価償却費(depreciation)、無形固定資産の償却費(amortization of intangible asset)」の合計額から、
「設備投資(capital expenditure)、税金(taxes)、運転資本の増加分(change in working capital)」の合計額を控除


して求めるのが通常です。ここで、償却費を加えるのは、償却費については経費計上されるものの実際のキャッシュの流出はないため、それを戻してやる必要があるからです。他方、設備投資額を控除するのは、これらは費用にはならないがキャッシュの流出を伴うためです。

また、運転資本(working capital)(*2)に関して調整を入れるのは、仕入れ・売上げと支払い・入金にはタイムラグがあるのが通常ですので、例えば、取引先からの入金が遅れているようなケースではキャッシュフローが減っている(売掛金総額が増えるので、流動資産・運転資本も増える)と考え、キャッシュの計算では差し引きしないといけないからです。そこで、「運転資本の増加額」を営業キャッシュフローから控除してやる必要が出てきます。例えば、2006年度に売掛金1000万円・買掛金500万円だったのが、2007年度には売掛金2000万円・買掛金1000万円になったとすれば、運転資本は500万円から1000万円に増加したことになり、キャッシュが500万円減ったことになります。よって、運転資本の増加分である500万円をフリー・キャッシュフローの計算においてマイナスすることになります。

続いてWACCの説明ですが、少し長くなりそうですので、次回のコラムに回したいと思います。


(*1) ここでの「営業利益」は、売上高(sales)から売上原価(cost of goods sold)と一般販売管理費(general administrative and selling expenses)を控除した営業利益に、(1-実効税率)を掛け合わせて求めた「税引き後営業利益」を意味します。
(*2) 日々の事業運営の結果生じる「売掛金(account receivable)・在庫の残高と買掛債務(account payable)の残高の差」を「(正味)運転資本」と言います。

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