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井垣太介 (Taisuke Igaki)

Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

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日本人弁護士による米国逆上陸

皆様、ご無沙汰しております。
今年は大量のM&A案件に文字通り忙殺され、全くブログの更新ができず、申し訳ございませんでした。正確には数えておりませんが、JVや一部出資を含めるとおそらく30件前後の案件を担当し、使用した時間的には半分以上がクロスボーダー案件だったように思います。平均4時間程度の睡眠を更に削ってブログを書くには心身の鍛錬が足りず、皆様の「いつも見ていますよ」というお声に励まされつつ、甘えさせてもらっておりました。

さて、クロスボーダーM&Aといえば、日本人弁護士として初めてアメリカで法律事務所を開設され、日本が誇るクロスボーダーM&A弁護士のパイオニアとして現在もご活躍中の先生がいらっしゃいます。桝田江尻法律事務所(西村あさひ法律事務所に合併する前のあさひ・狛法律事務所の前身)を創設された弁護士の桝田淳二先生です。読まれた方も多いかと思いますが、桝田先生は「国際弁護士」という本も書かれています。この本は桝田先生の自伝であると同時に、米国の法制度や裁判の仕組みが分かる教科書にもなっていますので、皆様(特に国際弁護士を目指されている学生の皆さん)におかれましても、是非一度お読み頂ければと思います。

『国際弁護士 アメリカへの逆上陸の軌跡』桝田淳二/日本経済出版社

実は、今日、東京でその桝田先生にお会いして、食事をしながら色々とお話をお伺いすることができました。

桝田先生は、1977年に桝田江尻法律事務所を開設され、バブル経済の真っ最中だった日本で数多くのクロスボーダーM&A案件を経験されましたが、1990年台に入り外国の弁護士が日本において業務を開始するようになると、日本からもアメリカに「逆上陸」するぞとの決意の下に1991年の年末に単身でニューヨークに乗り込み、オフィスを開設されました。
その後、日本企業の駆け込み寺のようになって多忙を極める業務の合間にアメリカの法律の勉強もされ、1994年にはニューヨーク州の司法試験に合格されています(当時51歳)。ニューヨーク州の司法試験の勉強では大量の暗記を求められますので、50歳を超えてからの挑戦は大変だったそうですが、見事に一発合格されておられます。

桝田先生は、ずっと私が思い描いてきた仕事スタイルをもう何十年も続けてこられました。その過程では相当なご苦労があったものと思いますし、気力的にも体力的にもよく続けてこられたなあと思い、本当に頭が下がります。最近、私が「クロスボーダーM&Aを頻繁にやっている」と言うと、他の弁護士さんから「でも、クロスボーダー案件というのは、海外の弁護士が8割方動いて、日本の弁護士は仕事がないし、儲からないでしょう」と言われることが多いのですが、実際には違います。「違って然るべき」という言うべきかも知れません。資格(現地の弁護士法)の関係で現地の弁護士は雇って協働体制を組みますが、基本的には、言語が英語であり、クライアントからの要請がある限り、DDから交渉、契約書作成まで自ら行うことにしています。その場合、日本側の仕事量は逆に8割を超えてきます。現地の弁護士には現地法に基づくアドバイスや交渉同席を求め、現地政府との折衝等を依頼しますが、メインの仕事については、クライアントも巻き込んで「他人任せ」にしないで進めていくのです。クライアントの皆様も、必死で英語の契約書や財務諸表を読んで、一生懸命英語でメールを書いて、現地での会食も交渉も英語でこなします。それでなければ、買収してからの会社の運営がスムーズにできませんし、中身が良く分からないまま高い買い物をしてしまうことになりかねないからです。

桝田先生は、このような「日本人がクロスボーダー案件の中心に立ってマネジメントし、コントロールする」という仕事の仕方を当初からされてきました。単身でアメリカに乗り込んでいかれたというのも、当時のことを思えば大変な偉業だったと思いますが、何よりも、ときに一つの案件で100人以上の海外の専門家を取り纏めるという神業を駆使しながら、国際案件の真っ只中に自ら飛び込んで他人任せにしないで進めるという仕事のスタイルを継続されてこられたことが素晴らしいと思います。桝田先生からのアドバイスは、要約しますと、①ビジネスを理解する、②相手(クライアントも含む)の本音を正確に読む、③前面に立って誰かに頼らず自分の頭で考える、④解決できない問題はないと信じる、⑤結果に対して全責任を負う、⑥英語力を磨き続ける、の6点でした。普段心掛けていることとはいえ、身が引き締まる思いです。

今日は、桝田先生から、国際弁護士としての先生のご経験、これからの日本の進むべき道、これからの日本人弁護士が果たすべき役割等について、お話を伺い、意見交換させていただくことができ、大変貴重な機会となりました。

今、多くの日本企業は、国内マーケットの縮小、円高等で非常に苦しい状況に置かれています。今後、多くの企業が、生き残りを賭けて海外進出、他社買収を仕掛けると同時に、逆に、他者による買収、民事再生等による大手術を経ながら、事業の存続を図っていくことになると思います。私自身、10年ほど前に民事再生が流行った際には倒産弁護士としての経験を積ませて頂きました。そして、現在は、他社買収、海外進出案件に明け暮れています。来年は、逆境の中で、上に、外に突き抜けようとする企業、そして、やむを得ず一旦落ちてから再起を図ろうとする企業の両方のお手伝いができればと考えております。

今年も残り僅かですが、どうぞ宜しくお願い致します
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