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Author:井垣太介 (Taisuke Igaki)
日本及び米国NY州弁護士
 @西村あさひ法律事務所

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独禁法改正案~届出基準の緩和など~

本日(平成21年2月27日),談合やカルテル行為への罰則強化などを盛り込んだ独占禁止法の改正案が閣議決定されるようです。昨年の通常国会では結局成立せず廃案になっていますが,今回は前回争点となった「審査制度」については見送られたため,成立するのではないでしょうか。

企業結合関係では,会社等の株式取得につき合併等の他の企業結合と同様に事前届出制度とされるほか,合併等の届出基準が見直されて届出免除範囲が拡大されます。具体的には,現状,「総資産」ベースで「100億円以上,10億円以上」とされている届出基準が,「国内売上高の合計額」ベースとなり,かつ,金額がそれぞれ「200億円,50億円」に引き上げられます。

このうち「50億円」については,去年の改正案では20億円とされていました。新聞の情報によると,全国124万社のうち,売上高20億円以上の企業数は約6万6000社,うち売上高50億円以上の企業数は約3万社ということですので,届出基準を20億円から50億円に引き上げることで公取委へ届けられる件数が半減する計算になります。

実務においては,公取委に持ち込まれる案件数が減って,それだけ審査期間が短くなることが期待されています。改正案の詳細については,国会で正式に可決された段階で改めてご紹介したいと思います。
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M&Aにおける事前開示書類(その2)~消滅会社~

続いて,M&A後に消滅する会社(合併の消滅会社,会社分割の分割会社,株式交換の完全子会社)において事前に開示する必要がある情報を整理します。

存続会社における開示書類と異なる点は,消滅会社側の計算書類等が含まれていない点です。これは開示しなくても構わないということではなく,通常の決算公告によって開示されているので二重には不要という趣旨です(ただし,消滅会社が設立されて間もない場合は,成立日における貸借対照表が開示対象になります)。

吸収合併消滅株式会社等の事前開示事項

吸収合併消滅株式会社(182条)

吸収分割株式会社(183条)

株式交換完全子会社(184条)

①吸収型再編対価として吸収合併消滅株式会社等の株主に、その有する株式の代わりに金銭等を交付するときは、吸収合併契約等に定めることが必要となる金銭等に関する事項及びその金銭等の割当に関する事項の相当性に関する事項(その定めがない場合は、当該定めがないこと)

 

②吸収分割承継会社が吸収分割株式会社に対してその事業に関する権利義務の全部又は一部に代わる金銭等を交付するときは、吸収分割契約に定める金銭等に関する事項の相当性に関する事項(その定めがない場合は、当該定めがないこと)

 

 

③吸収合併消滅株式会社等の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が吸収合併存続会社等の株式又持分であるときは、その吸収型再編の相手方である吸収合併存続会社等の定款の定め

 

④吸収合併消滅株式会社等の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が吸収合併存続会社等以外の法人等の株式、持分、社債等である場合において、次の事項(吸収合併契約等が吸収合併消滅株式会社等の総株主の同意により承認された場合を除く。)
1)その金銭等が吸収合併存続会社等以外の法人等の株式又は持分(その他これらに準ずるもの)である場合には、その法人等の定款等
2)その法人等が賃借対照表(又はそれに相当するもの)を決算公告等により開示していない場合には、その法人等の過去5年間の賃借対照表の内容
3)その法人等について登記がされていない場合には、その法人等を代表する者の氏名又は名称及び住所並びに取締役等の役員の氏名又は名称

 

⑤吸収分割株式会社が、効力発生日に取得対価を吸収分割承継会社の株式若しくは持分とする全部取得条項付種類株式の取得又は配当財産を吸収分割承継会社の株式若しくは持分とする剰余金の配当を行うこと、吸収分割契約に定めた場合には、その取得又は配当について決議された内容に関する事項

 

 

⑥吸収合併消滅株式会社等が新株予約権を発行しているときは、吸収合併契約等に定められた新株予約権に関する事項の相当性に関する事項

⑦吸収型再編の相手方である吸収合併存続会社等についての次に揚げる事項
1)最終事業年度に係る計算書類等の内容
2)最終事業年度の末日後の日を臨時決算日とする臨時計算書類等があるときは、その臨時計算書類等の内容
3)最終事業年度の末日後に重要な財産の処分、重大な債務の負担その他の会社財産の状況に重要な影響を与える事象が生じたときは、その内容

⑧吸収合併消滅株式会社等についての次に揚げる事項
1)最終の事業年度がないときには、吸収合併消滅株式会社等の成立の日における賃借対照表
2)最終事業年度の末日後に重要な財産の処分、重大な債務の負担その他の会社財産の状況に重要な影響を与える事象が生じたときは、その内容

⑨吸収合併等が効力を生ずる日以降における吸収合併存続会社等の債務の履行の見込みに関する事項

⑩吸収合併契約等備置開始日後、前に揚げる事項に変更が生じたときは、変更後の当該事項

M&Aにおける事前開示書類(その1)~存続会社~

合併や会社分割においては,株主や債権者を始めとする利害関係人に対して取引の概要を知らせるために,
ア 株主総会開催日の2週間前の日
イ 株主への通知または公告の日
ウ 債権者への公告または催告の日
のうち、最も早く到来する日から事前開示書類を備置することが要求されています。では,具体的にどのような情報を提供すればよいのでしょうか?今回は,まず,M&A後に存続する会社(合併の存続会社,会社分割の承継会社,株式交換の完全親会社)において開示する必要がある情報を整理します。

吸収合併存続株式会社等の事前開示事項

吸収合併存続株式会社(191条)

吸収分割承継株式会社(192条)

株式交換完全親株式会社(193条)

①吸収型再編対価として吸収合併消滅会社等の株主又は社員に、その有する株式又は持分の代わりに金銭等を交付するときは、合併契約等に定める金銭等に関する事項及びその金銭等の割当に関する事項の相当性に関する事項

 

②吸収分割承継株式会社が吸収分割株式会社に対してその事業に関する権利義務の全部又は一部に代わる金銭等を交付するときは、吸収分割契約に定める金銭等に関する事項の相当性に関する事項

 

 

③吸収分割株式会社等が、分割型吸収分割を行うことを吸収分割契約に定めた場合には、全部取得条項付種類株式の取得又は剰余金の配当について決議された内容に関する事項

 

 

④吸収合併消滅株式会社等が新株予約権を発行しているときは、吸収合併契約等に定められている新株予約権に関する事項の相当性に関する事項

⑤吸収型再編の相手方である吸収合併消滅会社等についての次に揚げる事項
1)最終事業年度に係る計算書類等の内容
2)最終事業年度の末日後の日を臨時決算日とする臨時計算書類等があるときは、その臨時計算書類等の内容
3)最終事業年度の末日後に重要な財産の処分、重大な債務の負担その他の会社財産の状況に重要な影響を与える事象が生じたときは、その内容

⑥吸収合併消滅会社等が清算会社である場合には、清算賃借対照表

 

⑦吸収合併存続株式会社等についての次に揚げる事項
1)最終事業年度がないときには、吸収合併存続会社等の成立の日における賃借対照表
2)最終事業年度の末日後に重要な財産の処分、重大な債務の負担その他の会社財産の状況に重要な影響を与える事象が生じたときは、その内容

⑧吸収合併等が効力を生ずる日以降における吸収合併存続会社等の債務の履行の見込みに関する事項

⑨吸収合併契約等備置開始日後、前に揚げる事項に変更が生じたときは、変更後の当該事項

⑤の「最終事業年度に係る計算書類等」(例えば,合併であれば会社法施行規則191条3号イ)の定義は,会社法施行規則2条3項に存在しますが,これによると,「計算書類等」には,会社法435条2項が定める「計算書類」(貸借対照表,損益計算書,株主資本等変動計算書,個別注記表)に加えて,「事業報告」も含まれるとされています。また,監査役設置会社の場合は,「計算書類」「事業報告」に対する「監査報告」についても添付する必要があります。

なお,「最終事業年度に係る計算書類等」は株主総会の承認決議を得た計算書類等でなければなりません。よって,例えば,平成21年3月期の事業年度最終日の翌日である平成21年4月1日に合併の効力発生日が来るように設定した場合は,事前開示すべき計算書類等を平成21年3月期のものに差し替える必要はありませんが(定時株主総会が4月1日までに到来しないため),合併の効力発生日を平成21年7月1日に設定した場合は,株主総会の承認を得た平成21年3月期の計算書類を開示しなければなりません(株主総会までは平成20年3月期の計算書類を開示しておいて,6月の株主総会が終了した段階で平成21年3月期のものに差し替える)。

ちなみに,事前開示書類の備置開始日から合併効力日までの間に重要事象が発生した場合は,開示情報のアップデート作業が必要になるのは,どのケースでも共通ですが,厳密に言えば,重要事象は「最終事業年度の末日後」に発生したもののみを記載すればよいことになっています。よって,上記の例(3月決算)では,合併の効力発生日を平成21年4月1日とした場合には,平成20年4月1日以降平成21年4月1日までの重要事象を記載し,合併の効力発生日を平成21年7月1日とした場合には,平成21年4月1日以降平成21年7月1日までの重要事象を記載することになります。

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