M&Aそのものではありませんが、出資もアライアンスの一部ですから、将来の株式公開を考えている会社が、上場が迫っている状況で、第三者割当増資や新株予約権の発行を通じた資金調達ができるのかという問題について、簡単に整理しておきたいと思います。
上場前の新株(予約権)発行は短期的な利益確保につながりやすいため、投資家を煽って行き過ぎた資金調達につながる可能性もありますし、他の株主との関係で公正さに疑義が生じる場合も考えられます。
よって、例えば東証であれば、東証の「有価証券上場規程第217条及び有価証券上場施行規則」により一定の規制に服することになります。
具体的には、①
第三者割当増資、②従業員等以外の第三者への新株予約権、③従業員等へのストックオプションの3種類に分けて規制がなされています。
① 第三者割当増資について(規則第255条)
・ 増資自体は自由です(但し、上場承認日前日から上場日までの数週間については、上場手続の関係で実質的に募集株式割当ができません)。
・ 上場申請日の直前事業年度の末日の1年前の日以後に募集株式の割当を行っている場合には、当該割当株式を、
原則として上場日以後6か月間所有しなければなりません。
・ 増資をした会社及び割当を受けた者の二者が、継続所有や情報開示への協力等に関する
確約書を東証に提出しなければなりません。
② 従業員等以外の第三者への新株予約権について(規則第257条)
・ 新株予約権の割当自体は自由です(但し、上場承認日前日から上場日までの数週間については、上場手続の関係で実質的に割当ができません)。
・ 上場申請日の直前事業年度の末日の1年前の日以後に新株予約権の割当を行っている場合には、当該新株予約権及び当該新株予約権を行使した結果交付された株式を、
原則として上場日以後6か月間所有しなければなりません。
・ 増資をした会社及び割当を受けた者の二者が、継続所有や情報開示への協力等に関する
確約書を東証に提出しなければなりません(上記制限期間よりも前に割り当てられた新株予約権を行使した結果取得した株式については、確約書の提出不要)。
③ 従業員等へのストックオプションについて(規則第259条)
・ 割当対象は「役員又は従業員等」であり、具体的には、①申請会社の役員又は従業員、②申請会社の子会社の役員又は従業員を指します。役員には役員持株会を含み、取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員を含む。)、監査役、執行役(理事及び監事その他これらに準ずる者を含む。)が該当します。なお、弁護士、会計士、顧問、大学教授等の会社協力者等や契約社員及び入社前の者は「役員又は従業員等」には該当しません。
・ ストックオプションの割当自体は自由です(但し、上場承認日前日から上場日までの数週間については、上場手続の関係で実質的に割当ができません)。
・ 上記①②とは異なり、継続所有を義務付けられる期間が、「割当日から
上場日の前日まで」に短縮されます。
・
確約書が必要である点については、上記②と同様です。
上記各規制に違反した場合、上場申請の不受理又は受理取消しというサンクションがありえますが、例外も定められています(規則第256条等)。
また、
上場申請日の直前事業年度の末日の2年前の日から上場日の前日までの期間において、第三者割当等による募集株式の割当又は新株予約権の割当を行っている場合には、当該第三者割当等による募集株式等の割当の状況を、「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」の中の「株式公開情報 第2 第三者割当等の概況」において記載する必要があります(価格の算定根拠も記載)。
更に詳細な規制内容については、
東証のウェブサイトをご確認下さい。また、有価証券上場規程と有価証券上場施行規則については、新日本法規の証券六法にも掲載されています。